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On the Production
by 井口健二
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■昴、サスペリア・テルザ、グラン・トリノ、カンフーシェフ、刺青奇偶、ストリートファイター/チュンリー、エンプレス
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『昴−スバル−』“Dance Subaru”
曽田正人原作によるビッグコミックスピリッツに連載された
同名コミックスの映画化。主演は黒木メイサ。共演は桃井か
おり、平岡祐太、佐野光来、韓国女優のAra。他に前田健、
筧利夫らが脇を固めている。
さらに製作と配給会社はワーナー、製作会社には『レッドク
リフ』を手掛けたエイベックスも名を連ねているが…脚本と
監督は香港出身のリー・チーガイ、製作は『グリーン・デス
ティニー』などのビル・コンによる中国=香港映画。
物語は、ダンサーの天分を持つ女性が、困難を乗り越えて国
際大会に出場するなど、才能を花開かせて行く姿が描かれて
いる。そしてそんな彼女を支えるのが、アメリカからやって
来た天才ダンサーや、場末で劇場を営む元ダンサーの女館主
だったりというものだ。
最近、この種の若き天才芸術家を主人公にした作品をよく観
るような気がするが、撮影技術や編集技術の進歩で、こうい
う作品が作りやすくなっているのかな。とは言えクラシック
バレエはなかなかハードな題材のようにも思えるが、そんな
題材を出演者達はよくこなしているようにも観えた。
因に、桃井かおりと前田健は共に元バレエダンサーである訳
だが、特に桃井はバレエ初体験の黒木に対して、ダンサーら
しく見せる立ち方や手の組み方なども伝授したと、試写と同
じ日に行われた記者会見で発言していた。
なお同じ記者会見では、桃井は以前にバレリーナを目指した
人間として、バレエが題材の映画には出来るだけ近寄らない
ようにしていたのだそうだ。しかし今回は、その事情も知る
ビル・コンが敢えて桃井にオファーをし、桃井も自分がやら
なくてはいけないという決意で撮影に臨んだとのこと。
それで黒木と一緒に2時間に及んだダンスシーンも撮影した
が、完成作品ではそのシーンがほとんどカットされてしまっ
たのだそうで、その点を悔しがっていた。黒木も頑張ったよ
うなので、特典DVDにでも収録されたら観てみたい気もす
るところだ。
主演は日本人だし、主な台詞は全て日本語の作品なのだが、
何となく日本映画とは違う味わいもある。鑑賞中はその辺が
面白くも感じられた。
『サスペリア・テルザ/最後の魔女』“La Terza madre”
「決してひとりでは見ないでください」のキャッチフレーズ
が鮮烈な印象を残す1977年の『サスペリア』を監督したダリ
オ・アルジェントによる2007年の作品。
因に本作は、『サスペリア』、1980年の『インフェルノ』に
続く魔女3部作の最終章と位置付けられており、80年作品に
登場する「3人の母の館」に纏わる完結編となっている。し
かし物語的には互に独立した作品であり、単独で観ても全く
支障はないものだ。
大体、前の作品から30年近くも経っているのだから、あまり
関連性があっても困ってしまうところだが、実は3作の登場
人物の中にサラという共通の名前があって、本作ではそのサ
ラが主人公になったりもしている。
物語は、古い墓地の工事中に区画の外から19世紀の棺が掘り
出され、その副葬品を納めた箱を開けたことから呪いの魔女
が復活してしまうというもの。そして主人公のサラは考古学
の助手で、しかも彼女の母親の因縁から事件に巻き込まれる
ことになる。
魔女の復活によってローマ中に悪が蔓延り出すといった描写
は、どこかで見たような…という思いは抱きつつも、背景に
写るイタリア建築そのものが、そこにオカルトを感じさせる
雰囲気なのはさすがというところだ。
そしてその場所をヒロインが彷徨うシーンなどは、正に『サ
スペリア』を思い出させてくれるものになっていた。しかし
当時描けた過激なショックシーンは、DVDが基準となる今
の時代では規制も厳しくなっているようで、なかなか思い通
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02月08日(日)
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