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On the Production
by 井口健二
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■パラレル、桃まつりkiss!、エリートヤンキー三郎、フロスト×ニクソン、60歳のラブレター、バーン・アフター…、ダイアナの選択
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『パラレル』
元Jリーガーだったスポーツ選手が車椅子の必要な身体とな
り、その状況からパラリンピックの日本代表選手となって行
くまでを描いた実話に基づくドラマ。
室蘭大谷高校のサッカー選手だった京谷和幸は高卒で古河電
工サッカー部に入部、Jリーグ発足と共にジェフ市原とプロ
契約を結びJリーガーとなる。そしてフランスW杯の日本代
表を目指す一方、チームのチアリーダーの女性に一目惚れし
結婚の約束を勝ち取る。
ところが結婚式を目前に事故に遭い、下半身が不随となって
サッカー選手の道を閉ざされる。このため最初は落ち込んで
しまうのだが、やがて車椅子バスケットボールに巡り会う。
しかもそこでは元Jリーガーの実力を発揮、パラリンピック
日本代表への階段を登り詰めて行く。
もちろん最初にJリーガーであることからして一般の人とは
条件が違う訳だが、それは足を奪われただけで今まで賭けて
きたことの全てが失われてしまうような、一般の人以上に厳
しい条件であったことも理解できるところだ。
そんな中で、それでも彼を支えていこうとする婚約者の理解
などは特に重要な話だと思われるところだが、実はこの映画
化ではそんな部分をすっ飛ばして、ただ感動の物語が綴られ
ただけものになっている。
それが良いか悪いかだが、まあ最近の日本映画のレヴェルは
大体こんなもので、それを考えれば悪い作品ということには
なりそうもない。Jリーグもそれなりのネームヴァリューが
あって、北京パラリンピックの印象もまだあるうちなら、こ
れで良いだろうというところだ。
ただし、映画を観ていて何かもう一歩の踏み込みが物足りな
いような気分にはなった。その足りない部分が何かと言われ
ると詰まってしまうところだが、何か1つインパクトに欠け
るというか、パンチが足りない感じがするのだ。
とは言っても、物語は実話に基づいているから無茶なことは
できないが、例えば最後に実際の北京パラリンピックでの活
躍の映像を挿入するとか、何か一工夫が欲しい感じはした。
それは権利の問題などで叶わなかったのかも知れないが。
出演は、主人公に要潤と、その妻役に歌手で主題歌も歌って
いる島谷ひとみ。島谷の演技は悪くないし、2人のファンに
は満足できる作品なのかな。なお本作は、文科省選定(青年
・家庭向き)の映画となっている。
『kiss!』
昨年2月に紹介した『真夜中の宴』に続いて、女性映画人に
よる「桃まつりpresents」との冠の付けられた短編映画集。
東京では3月14日から渋谷ユーロスペースでの公開が予定さ
れている。
なお上映は、A、Bの2プログラムに分けて全9本の予定の
ようだが、昨年と同様今回も2作品が未完成とのことで、試
写が行われたのは7本だけ。その中から特に気に入った作品
を紹介しておく。
「マコの敵」
べリーダンサーを主人公に、恋人を奪われた女性の執念が描
かれる。主人公は海外公演も行うほどだったが、ダンスにの
めり込みすぎて恋人に逃げられてしまう。ところが、その恋
人を奪った女性が、事情を知らずにダンスを習いたいと彼女
の前に現れる…
かなり特異なシチュエーションだが、それなりに話の辻褄は
合わせてあり、結構面白く観させてもらった。挿入されるダ
ンスシーンの感じも悪くないし、結末まで一気に観せてくれ
る構成はしっかりしている。短編映画としては完成された作
品だ。
「クシコスポスト」
炎天下のビルの屋上に集う家族のような面々。しかしそこに
は母親は居ず、主人公の少女はいつも「お母さんが欲しい」
と思っていた。そんな夏休みのある日、少女は母親を求めて
行動を開始するが…世間の事情はいろいろ複雑だった。
炎天下の屋上の風景などはシュールで見事だし、少女の行動
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01月25日(日)
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