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On the Production
by 井口健二
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■ブラッド・ブラザーズ、ダウト−あるカトリック学校で−、チェ28歳の革命/39歳別れの手紙(再)
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ブラッド・ブラザーズ』“天堂口”
『レッドクリフ』でアジア復帰を果たしたジョン・ウー監督
が、その前に製作者として関っている中国作品。1930年代の
上海を舞台に、ウーが興した香港ノワールを髣髴とさせる物
語が展開される。
2006年『女帝』などのダニエル・ウーが扮する主人公は、農
村地帯のとある寒村で貧しいけれど堅実な暮らしを続けてい
た。ところが親友の兄に上海でウェイターの仕事が決まり、
一緒に上海に出て一旗上げようと誘われる。その誘いに最初
は慎重だった主人公も、家計を助けるとの名目で上海行きを
決意する。
こうして上海に到着した主人公とその親友の兄弟だったが、
その兄には定職があるものの、弟と主人公は人力車の車夫程
度の仕事しかありつけない。しかし兄の誘いで、兄の勤める
キャバレー「天国」に出入りするようになった彼らは、徐々
に危険な裏社会へと足を踏み入れて行くことになる。
そしてある抗争事件に巻き込まれた主人公は、偶然手にした
拳銃で相手を射殺、これで殺し屋としての手腕を認められて
しまう。これにオーナーの右腕の先輩殺し屋や、オーナーの
愛人のキャバレーの歌姫などが絡んで、派手なアクションの
陰に潜む、切ない物語が展開されて行く。
他の出演は、親友の兄弟役に『王妃の紋章』のリウ・リエと
『僕の恋、彼の秘密』などのトニー・ヤン、歌姫役に『トラ
ンスポーター』などのスー・チー、先輩殺し屋役に『レッド
クリフ』に出演のチャン・チェン、さらにオーナー役に『梅
蘭芳』のスン・ホンレイ、主人公の地元の恋人役に『シュウ
シュウの季節』などのリー・シャオルー。
監督は、台湾出身の写真家で本作が長編映画デビューとなる
アレクシ・タン。写真家出身らしい映像で物語が綴られる。
なお本作は、東京では1月17日〜2月6日に六本木シネマー
トで開催される「香港電影天堂」と題されたシリーズ企画の
中心作品として上映される。
それから本作では、主人公たちが倉庫に押し入る場面でライ
オンの刻印の押された箱を探すというシーンがあり、そこで
見つけるのがウーのプロダクション=ライオンロックのロゴ
マークの付いた箱、その中身は…これにはちょっと笑えたと
ころだ。
『ダウト−あるカトリック学校で−』“Doubt”
本年度ゴールデン・グローブ賞に演技賞など5部門でノミネ
ートされている人間ドラマ。ケネディ大統領暗殺の衝撃も覚
め切らない1964年早春、ニューヨーク・ブルックリンに所在
するカトリック系の私立学校を舞台に、他人を疑うことの恐
ろしさを描き切った作品。
主演は、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞ドラマ部門に、
コメディ/ミュージカル部門『マンマ・ミーア!』とダブル
ノミネートを達成したメリル・ストリープ。
その彼女が演じるのは、カトリック系の学校に君臨する厳格
な校長。流行のボールペンも筆跡が乱れるとの理由で使用を
禁止するほどの保守的な考えの持ち主だが、修道女の身分の
彼女は、司祭の地位にいる男性教師を指導することまではで
きない。その中でも進歩的な考えを持つ男性教師は特に目に
付く存在だ。
そんなある日のこと、新任の女性教師がとある状況を目にす
る。それはその男性教師が生徒の少年に不適切な行為を行っ
ていることを疑わせるものだった。そして、その男性教師を
詰問した校長は一層疑いを深めるが…、同席した女性教師は
彼に理解を示す。
果たして男子教師の言い分は正しいのか。校長の疑いは彼を
憎むあまりの妄想なのか。それでも校長は、その男性教師を
排除するための最後の手段に出るが…。
この物語に、生徒が校内で唯一の黒人生徒であるなど、いろ
いろな状況が絡み合って先の見えないドラマが展開される。
共演は、男性教師役にフィリップ・シーモア・ホフマン、新
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12月28日(日)
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