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On the Production
by 井口健二
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■大阪ハムレット、ハイスクール・ミュージカル、ハルフウェイ、サーチャーズ、花婿は18歳、プライド、長江にいきる、NIGHT☆KING
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『大阪ハムレット』
森下裕美の原作による同名コミックスの映画化。大阪は南海
本線沿線の庶民の街を舞台に、ちょっと変わった…でもある
かも知れない一家の日々が綴られる。
一家の家族構成は、母親と男ばかりの3人兄弟。映画の巻頭
で父親が急死し、その葬儀の席に現れた父親の弟と称するお
っさんが家に居着いてしまう。
その3人兄弟は、中3なのに老け顔で大学生に間違えられて
しまう長男と、ヤンキーの次男、それに教室で「女の子にな
りたい」と宣言してしまった三男。そして次男は、教師から
「ハムレット」のようだと言われ、国語辞典を片手に原作を
読み始めるが…
原作者は、「ハムレットを大阪弁でやったら台無しだろう」
と言っているが、映画の中にはしっかりと大阪弁の「ハムレ
ット」も登場する。さらに父親の亡霊も登場して、「ハムレ
ット」が見事に下敷きにされた作品になっている。
そんな無茶苦茶な展開が、大阪の街の中にしっくりと填り込
んで、正に人情味あふれる物語が描き出される。
実は今夏に岸和田を訪れたもので、その風景などにも何とな
く親しみが湧いた。映画には南海本線の岸里玉出駅も登場す
る。もっとも僕が乗ったのは急行だったから、この駅には止
まらなかったようだが、同じ路線の駅の雰囲気などはどれも
似たり寄ったりだろう。
そんな思い出も心地よく映画に浸ることができた。
出演は、松坂慶子、岸部一徳と、森田直幸、久野雅弘、大塚
智哉が3兄弟を演じる。他に、加藤夏希、白川和子、本上ま
なみ、間寛平らが共演。加藤が今回も良い感じだ。
監督の光石富士朗は東京出身だが、3兄弟を演じた森田、久
野、大塚は全員が関西出身者とのことで、その自然な演技が
魅力的だった。中でも、劇中劇で演じられる「シンデレラ」
のシーンは、舞台の上から観客席までが見事に演出されてい
た。
東京が舞台だと昭和と宣言しなければならないような世界、
でも大阪ではこれが今でも通用するのかな? そんな憧れも
感じながら映画を楽しんだ。因に本作は、今年の東京国際映
画祭の「日本映画・ある視点」部門で上映されて、岸部が特
別賞を受賞したとのことだ。

『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』
        “High School Musical 3: Senior Year”
2006年と2007年に、CS系のディズニーチャンネルで放送さ
れたオリジナルムーヴィ『ハイスクール・ミュージカル』の
第3弾が、今回は劇場用映画として登場する。
物語の舞台は、ユタ州ソルトレイクシティに実在するイース
ト高校。その高校のバスケットボールチームに所属する花形
選手と、転校生で数学と科学の天才少女を巡る物語。そして
その学校では、毎年、生徒たちによるオリジナル・ミュージ
カルの公演が行われていた。
第1作では2人の出会いが描かれ、第2作では夏休みのヴァ
ケーションを中心に、それぞれミュージカルの公演を頂点と
する生徒たちのいろいろな思いが綴られたらしい。そこには
公演の主役の座を巡る争いや、花形選手を巡る恋の鞘当てな
どもあったようだ。
そして本作では、それらの思い出の詰まった学校からの卒業
を控えた生徒たちの将来の夢や、そこに向かって行く勇気が
描かれる。
花形選手にはバスケットの名門アルバカーキ大学からの推薦
入学の誘いが来る。そこは彼の父親も学んだ場所だ。一方、
天才少女にはスタンフォード大学への進学が認められる。そ
れは彼女にとっては最高の学府と言えるものだ。しかしその
進学は、2人の間が遠く隔てられることも意味していた。
日本のように、ほとんどの大学が関東や関西に集中している
と、こんな悩みも少ないかも知れない。元々小さい国日本で
は全国どこに行っても然程変りはないだろう。しかしこれが

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11月23日(日)
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