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On the Production
by 井口健二
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■第171回
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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。 ※
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ティム・バートン監督による“Alice in Wonderland”の
撮影は始まっているようだが、その影響もあってか児童向け
の古典文学の映画化が次々発表されている。今回はその情報
から紹介しよう。
その1本目は、これもディズニーの古典アニメーションで
も知られる“Pinocchio”(ピノキオ)の再映画化を、ギレ
ルモ・デル=トロの製作総指揮により、ジム・ヘンスンCo.
(JHC)で進めていることが発表された。
原作の小説はイタリアの作家カルロ・コロディが1883年に
発表したもので、1940年にディズニーが長編アニメーション
の第2作として映像化。また実写では、1996年にマーティン
・ランドーの出演で映画化されている他、2002年のロベルト
・ベニーニ監督・主演作も記憶に新しいところだ。
その原作を今回は、よりダークなトーンのストップ・モー
ションで映画化するという計画で、デル=トロは、2002年に
原作が再出版された際のイラストレーターのグリス・グリム
リーと共に脚本を執筆。またグリムリーは、2006年の“The
Wraith of Cobble Hill”という作品で、サンダンス映画祭
の短編賞を受賞したアダム・パリシュ・キング監督と共に、
映画化の共同監督も手掛けることになっている。
因にデル=トロは、前回も紹介したようにモンスターの出
てくる映画しか作らないと宣言しているものだが、元々コロ
ディの原作もかなりダークなイメージを感じさせるもので、
今回はその辺を前面に出した作品になりそうだ。そして共同
で監督、脚本を務めるグリムリーのイラストは、ネットの紹
介で見ても相当にダークな感じで、これも良い感じだった。
ただしデル=トロは、前回報告したようにピーター・ジャ
クスンと進める“The Hobbit”に、2012年までは掛かり切り
になる予定で、その他にもユニヴァーサルと結んだ3年契約
でも、“Frankenstein”“Dr.Jekyll and Mr.Hyde”、さら
に“Slaughterhouse-Five”などスケジュールは満杯状態。
しかし本作に関しては、自身のウェブサイトでも3年以内の
完成を公表しているとのことで、早期に進められるようだ。
すでに共同監督も発表されている状況では、グリムリー側が
主導権を持って進めることになるのかもしれない。
なおJHCはディズニーと関係が強いようで、本作もディ
ズニーの配給になる可能性が高い。つまりディズニーでは、
バートン監督の『アリス』に続けて本作『ピノキオ』を公開
することになりそうだ。
* *
お次は、1972年“Deliverance”(脱出)などのジョン・
ブアマン監督が、1939年のMGM作品“The Wizard of Oz”
(オズの魔法使い)でも知られるL・フランク・ボウム原作
の“The Wonderful Wizard of Oz”をCGアニメーションで
映画化する計画を発表した。
この原作の映画化では、何と言っても上記のヴィクター・
フレミング監督による作品が有名だが、それ以前にも、ボウ
ム自身が製作したサイレント映画や短編アニメーションなど
もあったようだ。しかし1939年以降は、原作にインスパイア
されたブロードウェイ・ミュージカルの映画化“The Wiz”
(ウィズ)と、ディズニーが続編として映画化した“Return
to Oz”(オズ)がある程度で、同じ原作からの映画化は行
われていない。そのくらいにMGM版の映画化は評価の高い
ものだ。
その原作の再映画化にブアマン監督が挑むことになる訳だ
が、上記の『脱出』が代表作として挙げられる監督に児童向
けの作品はちょっと不思議な感じもする。ところが、実はブ
アマン監督が『脱出』の次に撮った“Zardoz”(未来惑星ザ
ルドス)では、映画の中でボウムの原作に言及した部分があ
ったりもして、監督とこの原作の関係には浅からぬものが感
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11月15日(土)
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