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On the Production
by 井口健二
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■第169回
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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。    ※
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 今回は記者会見の報告から。
 12月5日に日本公開されるディズニー=ピクサー・アニメ
ーション『ウォーリー』の監督アンドリュー・スタントンと
製作者のジム・モリス、それに音響デザイナーでウォーリー
の声も担当したベン・バートの来日記者会見が行われた。
 この内、『スター・ウォーズ』でのR2−D2の音声の制作者
としても知られるベン・バートは初来日とのこと。会見では
技術畑のバートに対する質問が出るかどうか心配で、自分な
りの質問は用意して出掛けてみた。ところが会見は思いの他
バートに質問が集中することになり、僕は質問できなかった
が、いろいろ興味深い話は聞くことができた。
 その会見によると、この作品は、当初冗談で“R2-D2: The
Movie”と呼ばれていたとのこと。それなら本人を呼んだら
どうかという発想でバートへのアプローチがされたのだそう
だ。それに対してバート側が直ちに応じたもので、このため
かなり初期の段階から計画に参画していたようだ。
 そこでバートは、ストーリーの骨子や極初期のコンセプト
アートなどを観ながらアイデアを練り、さらに保存してあっ
たいろいろな音の中から今まで使ったことのない音を選び、
それらに人間の声(ウォーリーに関してはバート本人)を加
味して、今回登場するロボットたちの声を設計したとのこと
だ。
 そしてさらに、その声をアニメーターたちに聞かせ、彼ら
との意見交換で声を完成させて行ったとのこと。このため、
ロボットのキャラクターの形成にも、その声が直接の影響を
与えたとのことで、そこではかなり主導的な立場にもあった
ようだ。従って、バート自身もこの作品にはかなり満足して
いる様子で、終始にこやかに会見に応じていた。
 僕は以前に、バートの愛弟子で、『タイタニック』の音響
などでオスカーを受賞しているゲイリー・ライドストローム
にインタヴューをしたことがあり、そのときバートの人とな
りを訊いてみた。その回答は、「学校の先生のような人」と
いうものだったが、その記憶から今回の会見を観ていると、
確かにバートは、雰囲気も柔らかく質問に対する回答も丁寧
で、本当に生徒に好かれる先生という感じがしたものだ。
 データベースによると1948年7月12日生まれ、今年60歳に
なったばかりのバートだが、どんどんコンピュータ化される
一方の映像に対して、音響は自然の音を使ったり、自分の耳
が頼りだったり、まだまだ手作りの部分も残る分野で、これ
からもますます頑張ってもらいたいものだ。
 ところでこの会見には、映画の設定上の実物サイズで製作
されたウォーリーのレプリカも登場し、ゲストの「タカ&ト
シ」とのパフォーマンスも披露した。このレプリカは遠隔操
作で操演されているもののようだったが、前後の移動や回転
は基より、身体を伸ばしたり、目も自在に動かせるなど優れ
もので、映画はCGIアニメーションだが、現実にもここま
での動きができるのだと感心した。
 このレプリカは東京国際映画祭への登場もありそうだが、
グリーンカーペットをちゃんと歩けるかどうか、昨年も登場
したお掃除ロボットや、TOYOTAの2輪車との共演も楽
しみだ。
        *         *
 ではここからは製作ニュースを紹介しよう。
 まずは新規の話題で、ニール・モリッツ率いるオリジナル
・フィルムスが、“Battle: Los Angeles”と題されたSF
作品をコロムビア向けに製作すると発表した。
 この作品は、1999年に公開されたジョン・トラヴォルタ主
演の軍隊ミステリー『将軍の娘』を脚色したクリストファー
・ベルトリーニによるオリジナル脚本を映画化するもので、
基本の物語は、海兵隊の小隊がエイリアンの侵略軍と遭遇、

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10月15日(水)
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