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On the Production
by 井口健二
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■そして私たちは愛に帰る、TOKYO JOE、デス・レース、永遠のこどもたち、ティンカー・ベル、ディー・ウォーズ、ラット・フィンク
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『そして、私たちは愛に帰る』“Auf der anderen Seite”
ドイツとトルコの関係を背景に描いた親子3組の物語。
ドイツに暮らす270万人とも言われるトルコ移民の老人とそ
の息子。ドイツに出稼ぎに来ているトルコ人女性とその母国
に残された娘。そしてドイツ人の母親とその娘。そんな3組
の親子が、あるときは絆を失い、またそれが再生する。
それぞれ親子が、いずれも親1人子1人で、しかもそれぞれ
が同性というのもポイントかも知れないが、互いを認め合っ
てはいるものの何処かよそよそしさがあり、しかしそこには
信頼関係も結ばれている。
2007年1月に『クロッシング・ブリッジ』という音楽ドキュ
メンタリーを紹介したトルコ系だがドイツ・ハンブルグ生れ
の監督ファティ・アキンの新作は、ドイツとトルコに跨がっ
た数多くの問題を含む作品となっている。
そこには、お互いの国の関係やEUへの加盟問題を重視する
あまり個人の権利を無視する司法の態度、またクルド人の問
題なども背景として明確に描かれている。それはファシズム
の台頭という両国が抱える問題の反映でもあるようだ。
前作『クロッシング…』では、その社会性の部分が意図的な
ものであるかどうかはっきりしなかったが、本作では「政治
は嫌いだ」という監督の発言とは裏腹に、トルコがEU加盟
に向けて覆い隠そうとしている国内の問題点が明確に描かれ
ている。
しかし、本編の物語はそこにテーマを置くものではなく、あ
くまでも親子という絆の深さを描いている。それは口先では
言い争いながらも、最後は抱擁で終わるものだ。それは両国
の関係への監督の願望であるのかも知れない。なお本作は、
2007年カンヌ国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞している。
出演は、ファスビンダー作品に多く出演しているハンナ・シ
グラと、トルコのベテラン俳優トゥンジェル・クルティズ。
他に、トルコ系のバーキ・ダヴラク、ヌルセル・キョセ、ヌ
ルギュル・イェシルチャイ、ポーランド出身のパトリシア・
ジオクロースカらが共演。
物語は、プロローグに続いては音楽隊の銅像の建つブレーメ
ンで始まるが、トルコの各地にロケされた風景と、そこに流
れる民俗音楽が素晴らしい映像で描かれた作品でもある。

『TOKYO JOE』
1985年4月に行われた大統領組織犯罪諮問委員会や、その他
裁判所での証言により、シカゴの大ボスたちを含む、政界、
司法界、労働界の大物14人の逮捕、起訴、有罪判決を始め、
マフィアを壊滅に追い込んだとされる日系人ケン・エトーを
追ったドキュメンタリー。
シカゴ警察の統計によれば、1919年以降、2005年1月23日ま
でに1111人のシカゴマフィア関係者の暗殺が実行されたと言
う。その中で、唯一一命を取り留めた男エトーは、その後の
証言によってそのマフィアを壊滅に追い込んだ。
そして彼自身は、その後の17年間に渡り史上最長と言われる
政府の目撃者保護プログラムによって身を隠し、その17年目
には慰労金として25万ドルを授与されたそうだ。
元々は奇しくもシカゴ警察の統計が始まったのと同じ1919年
に、日系人移民の長男としてカリフォルニアに生れ、14歳で
家を飛び出して全米各地の農場や工場などで働き、その間に
覚えた賭博の腕を上げて行く。そして戦後のシカゴに現れ、
マフィアの中で賭博組織の元締めとして台頭する。
そんなエトーは、FBIの中でも東洋人が幹部になることは
ないだろうとされていたが、彼の店に出入りする大物たちの
情報は握る立場にあった。一方、FBIでは2人目とされる
マフィア担当女性捜査官となったエレイン・スミスは、メイ
ンとは言えない賭博の捜査に就いていた中でエトーの存在に
着目して行く。
こうして1983年、賭博容疑でエトーの逮捕状が執行される。

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09月28日(日)
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