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On the Production
by 井口健二
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■悪魔のリズム、かけひきは恋のはじまり、ハピネス、櫻の園、最後の初恋、初恋の想い出
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『悪魔のリズム』“Arritmia”
キューバ本島の一角に設けられた米軍施設グアンタナモ基地
で行われているテロリスト容疑者の取り調べを題材に、幻想
と現実が入り乱れる作品。題材的にはファンタシーのような
部分もあるが、現実的には、基地で行われているとされる残
虐行為を告発する面も持っている。
物語は、キューバの海岸に1人の若者が打ち上げられている
ところから始まる。その若者は記憶を喪失していたが、その
様子からグアンタナモ基地を脱走してきたと見られる。そこ
でその若者がヒッチハイクした車の運転手は、若者を自分の
妹の家に匿うが…
若者は徐々に記憶を取り戻し、グアンタナモ基地で行われて
いるテロ容疑者虐待の様子が明らかにされて行く。そしてこ
の物語には、踊り子である運転手の妹や、踊り子を庇護する
謎の老人などが介在する。
元々の企画は、1999年の『タイタス』なども手掛けた英国在
住の日本人プロデューサー・吉崎道代が立てたもので、吉崎
自身メッセージによると「世界の政治ゲームの中で翻弄され
る若者の悲劇を描こうとした」とのことだ。
実は吉崎は、その前にカストロ首相を題材にした作品を企画
していたが、本人への取材も済ませたところで9・11、さら
にその後のグアンタナモ基地の模様を報じたCNNの番組な
どを観て計画を変更したのだそうだ。
しかしカストロ本人にまで取材できる立場なのに、キューバ
政府の本作の製作への協力はあまり芳しくなかったそうだ。
それは、キューバがアメリカとの関係悪化を避けている印象
でもあったようだが、その辺にもこの問題の微妙さが伺える
ところのようだ。
そのため映画の撮影は主にスペイン国内で行われているが、
それでも独特の色調で描かれた作品には、最近何本か観てい
るハバナを舞台にした映画の雰囲気がよく出ていた。
出演は、『ヘルボーイ』などのルパート・エヴァンス、『ド
ット・ジ・アイ』などのナタリア・ヴェリベケ、『アンダー
ワールド』などのデレク・ジャコビ。脚本監督は、ゴッサム
・スタジオの創設者のヴィチェンテ・ペニャロッチャ。
なお、本作のアメリカ題名は“Guantanamero”となっている
が、これはスペイン語で「白日夢」という意味だそうだ。

『かけひきは、恋のはじまり』“Leatherheads”
ジョージ・クルーニー監督、主演、レネ・ゼルウィガー共演
で、アメリカン・フットボールのプロリーグ創世期を描いた
作品。クルーニー監督による長編第3作。
1920年代のお話。この時代、カレッジフットボールは、名門
同士の試合には4万人の観客が集まるほどの隆盛だったが、
プロリーグは未だし。チームは設立されても資金難で撤退が
相次ぎ、カレッジの人気者も卒業後は普通の仕事に就くのが
当然だった。
そんな中で主人公のドッジは、フットボールを心から愛し、
カレッジからプロに転向したという選手。しかし以来20年、
年齢もすでに40歳を超え、チームのスポンサーも撤退して岐
路に立たされている。
そんなとき1人のカレッジ選手が注目を集める。彼は選手と
しても優秀だったが、何と名門プリンストン大学を一時休学
して第1次世界大戦中のヨーロッパ戦線に赴き、そこで武勲
を立てて、一躍国民的英雄にもなったのだ。
そんな大学選手のカーターに目を付けたドッジは、自分も関
わったエージェントの伝を頼って接近し、プロにスカウトし
ようとするのだが…実は、彼の武勲はちょっと訳ありのよう
で、そこにはシカゴトリビューンの敏腕女性記者が、目的を
隠して取材に訪れていた。
ところがドッジはその女性記者に一目惚れ、さらにカーター
も思いを寄せている様子。こうしてアメフット・プロリーグ
の設立をかけて、3人の活躍が始まる。
アメフットのファンには堪らない作品だろう。僕も生噛りの

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08月31日(日)
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