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On the Production
by 井口健二
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■ラブファイト、フロンティア、その土曜日7時58分、ビバ!監督人生!!、ファン・ジニ、LOOK、レッド・クリフ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ラブファイト』
1992年発表のまきの・えり原作『聖母少女』の映画化。
この原作から2006年の『手紙』などを手掛けた阿部照夫が脚
色。2005年『フライ,ダディ,フライ』などの成島出が監督
した。因に『手紙』の脚色は、前々回紹介した『イエスタデ
イズ』の清水友佳子と共同によるものだ。
主人公は、関西弁でいうヘタレな少年と、その幼馴染みの少
女。しかしその少女は、幼稚園の頃から男子にも平気で喧嘩
を挑んでイジメられっ子の少年を守り続けてきた。この少年
を『DIVE』の林遣都が演じ、少女を『ゲゲゲの鬼太郎』
の北乃きいが演じる。
殴り合うことで心を確かめ合うというかなり過激なテーマの
作品だが、林と北乃は5カ月に及ぶボクシングの特訓を受け
たとのことで、スポーツ物として良くできた作品になってい
る。
特に北乃は、元々が格闘技のファンで、アクション映画に憧
れており、さらにバレリーナでもあるとのことで、その振り
付けも含めたアクションの動きは様になっているように見え
た。中でも廻し蹴りのシーンは見ものだ。
メインの物語はこの高校生2人が中心だが、サイドには本作
のプロデューサーも務めた大沢たかおと、桜井幸子による悲
恋物語などもあって、結構深みのある内容になっている。実
際、脚本の改稿は120稿を越えているとのことで、それだけ
練り込まれた作品のようだ。
他に、波岡一喜、藤村聖子、鳥羽潤、建蔵、三田村周三らが
共演。また、FIBA世界バンタム級チャンピオンの天海ツナミ
がゲスト出演している。
まあ、全体的にはスポ根物の作品だが、主人公たちが結構屈
折していて、その辺がドラマとしても厚みにあるものになっ
ている。それにスタント吹き替えなしで撮影されたというボ
クシングのシーンはかなりの迫力だった。
因に完成披露試写では、メイキングの映像の上映されたが、
その真剣ぶりが良く判る感じだった。また舞台挨拶では、終
始北乃が林をリードしている感じなのが、映画のキャラクタ
ーともマッチして微笑ましかった。
『フロンティア』“Frontière(s)”
リュック・ベッソン主宰ヨーロッパ・コープ提供によるフラ
ンス製スプラッター作品。同様の作品では、2006年6月紹介
の『ハイテンション』があるが、本作では新たにザヴィエ・
ジャンという監督が抜擢されている。
物語は、何時とは知れないフランス大統領選挙が決選投票に
持ち込まれた状況が背景。極右と保守の2候補の決選投票を
前に各地で暴動が発生し、政府は夜間外出禁止令を発令して
民衆の弾圧を始めている。
そんな中で主人公たちは、混乱に乗じた強盗を働き、それで
得た資金で海外へ逃亡を図っている。ところが兄妹で参加し
ていた兄が銃弾を受け、グループの内の2人が現金を持って
国境に向かい、妹とその恋人が兄を病院に搬送することにな
る。
一方、国境に向かった2人は、国境に程近い宿で後続を待つ
ことにするが、そこには魅惑的な2人の女性がいて…
実は、この宿がナチスを信奉する一家のもので、そこではア
ーリア人の純血を残そうとする恐ろしい陰謀が進められてい
た。
因に物語で、主人公たちはアムステルダムに向かっており、
従って舞台はフランス北部と思われるが、こういう風潮が今
も残っているということなのだろうか。地理的には確かにド
イツにも近い訳だが、勝手にそう思ってしまうのも…いけな
いのかな。
とは言え映画は、そんな政治的な話などは全く背景だけで、
この連中が残酷な手口で主人公たちを苦しめて行く様子が、
最近のハリウッド映画では見られなくなった大量の血液その
他の強烈な描写で描かれて行く。
『ハイテンション』もそうだったが、さらにこれが現実的な
痛みを描写しているから、その強烈さがいやが上にも高まる
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08月03日(日)
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