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On the Production
by 井口健二
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■インビジブル・ターゲット、イエスタデイズ、パンダフルライフ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『インビジブル・ターゲット』“男兒本色”
2005年『香港国際警察/NEW POLICE STORY』を始め、最近の
香港でのジャッキー・チェン映画を数多く手掛けるベニー・
チャン監督が、『香港…』にも出演したニコラス・ツェー、
『インファナル・アフェア』のショーン・ユー、ジャッキー
・チェンの息子ジェイシー・チャンの共演で贈る新ポリス・
ストーリー。
武装強盗団に婚約者を殺された刑事、同じ強盗団に屈辱を受
けた警部補、そして、失踪中の兄がその強盗団の一味と疑わ
れている警官。その3人が出会い、事件の真相を明らかにす
るべく行動を開始するが…
この強盗団というのが、元東南アジアの内乱の戦士たちの残
党という設定で、戦闘能力が高い上に冷血。しかも、爆発物
等の扱いにも精通しているとなっていて、格闘技、銃撃戦、
そして爆発火災までが見事に実行される。
中でも、強盗団のリーダー格を演じる『SPL/狼よ静かに
死ね』などのウー・ジンは、『かちこみ!ドラゴン・タイガ
ー・ゲート』で見事なアクションを見せたツェー、ユーのコ
ンビを相手にして、しかも圧倒して行くのだから、その迫力
は尋常ではないものだ。
上映時間は2時間9分もあるが、その時間をほとんど隙間な
くアクションが連続する構成で、正直に言って見終ると観客
にも疲労感が残るほどの激烈なものになっている。つまりそ
れが望みの観客には、これ以上のプレゼントはないと言う感
じの作品だ。
共演は、アンディ・オン、ロー・ワイコンなど『香港…』の
メムバーに加えて、『ドッグ・バイト・ドッグ』のサム・リ
ー、『風雲/ストーム・ライダー』のアーロン・クォックら
も顔を出している。
なおジェイシー・チャンは、普段は二枚目だが、笑顔や泣き
顔になると父親そっくりになるのがご愛嬌。因に彼の本業は
歌手だそうで、確かにカンフーアクションのシーンはそれほ
どではなかったが、炎の中を転げ回るなどのスタントはちゃ
んとこなしていた。
そしてその分のカンフーアクションは、ツェーとユーが強烈
に演じているものだが、上記のウーとの闘いだけでなく、そ
の他の集団相手のアクションなども、見事な破壊の連続と併
せて、本当に見応えのあるものになっている。
香港アクション映画では、今期最強の1本と言えそうな作品
だ。

『イエスタデイズ』
「このミス」等にも選ばれている本多孝好原作の短編小説の
映画化。
余命を宣告された父親に頼まれて35年前に別れた女性の行方
を探す息子の物語。その手掛かりとして一冊のスケッチブッ
クを渡された息子は、そこに描かれた場所を訪ねてみる。そ
してその場所でスケッチブックを広げると…
そこには、35年前の画家を目指していた父親と、ピアニスト
の夢を膨らませる恋人の世界が広がっていた。そして主人公
はその2人と親交を持ち、2人の生活が取り返しのつかない
変化の淵に追いやられて行くのを見つめて行くことになる。
絵を切っ掛けに主人公がその時代に遡るという物語は多分先
例があると思うが、本作の映画化はその点をうまく表現して
いる。しかも、VFXなどもあまり使用せずにそれをやって
のけようとする演出は、それなりに感心しながら観てしまっ
たものだ。
しかも本作は、実は親殺しのパラドックスになるものであっ
て、SFファンとしては始めからその点ではらはらしてしま
うのだが…。主人公がそれに気付いていないというのも面白
いところで、それがある時点でちゃんと指摘されるという展
開にも感心した。
つまりこの主人公は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
のマーティとは全く逆の立場にいる訳で、これはSFファン
には当然すぎていまさら指摘するまでもないことだが、映画
ではこんな単純なパラドックスでも、解決できていない作品

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07月20日(日)
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