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On the Production
by 井口健二
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■胡蝶の夢、オンリーピック、フレフレ少女、ゲット・スマート、フェルメールを探して、三本木農業高校馬術部、ハルク、攻殻機動隊
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『コッポラの胡蝶の夢』“Youth Without Youth”
ルーマニア出身の宗教学者兼作家ミルチャ・エリアーデが、
晩年1976年に執筆した小説「若さなき若さ」を、フランシス
・フォード・コッポラの脚本監督製作で映画化した作品。
コッポラによる監督作品では、1997年『レインメーカー』以
来となる。因にその間には、2000年の『スーパーンヴァ』を
監督したともされているが、今回のプレス資料の監督インタ
ヴューでも2005年撮影の本作を8年振りとしているものだ。
物語の発端は、1938年のルーマニア。戦争の影も見える街で
1人の老人が落雷に撃たれる。その老人の名前はドミニク・
マティ。彼は愛する女性とも別れて自分の言語学研究を全う
しようとしたが、その研究も未完のままその地に終焉の場所
を求めていたのだ。
ところが病院に収容されたマティは驚異的な回復力を示し、
数週間後には健康体を取り戻す。しかも彼の身体は30〜40歳
にしか見えないものになっていた。その状況がヒトラーの耳
に届かぬはずはなく、彼の周囲にはゲシュタポの影が動き出
す。
しかしその戦争も終戦し、彼はスイスの山間で1人の女性と
巡り会う。彼女は、彼が以前に別れた恋人と瓜二つだった。
そして彼女も落雷に遭い、記憶を喪失した彼女は言語学者の
彼にしか判らない言葉を喋り出す。その彼女の言葉に導かれ
るままインドへと旅立った彼らは…
これに、彼にしか見えない分身の自分なども登場して、かな
りファンタスティックな物語が展開される。それに、登場人
物たちが喋る言葉も、各国語から古代語、架空の言語まであ
るという作品だ。
まあ正直に言って、SFファンの僕には純粋にファンタシー
として楽しめる作品だったが、そこにいろいろ理屈を言い始
めるとかなり七面倒くさくなりそうだ。でもそんなことは考
えなくても面白い作品になっている。
コッポラは、一般的には『ゴッドファーザー』や『地獄の黙
示録』で知られるが、元々はBムーヴィの雄ロジャー・コー
マンの許でのソ連映画『大宇宙基地』の改作や、『フィニア
ンの虹』『ワン・フロム・ザ・ハート』『キャプテンEO』
『ペギー・スーの結婚』、さらにブラム・ストーカーの原作
に忠実な1992年版『ドラキュラ』などファンタシーへの志向
も強く、その線でもこの作品に何の疑問も生じない。
また劇中は、古代の言語や架空の言語など、ある種の知的な
遊びに取れる要素も多く、ロケーション撮影された風景も美
しい。海外での評価は、賛否両論多いようだが、あまり面倒
なことは考えず、普通にファンタシーとして楽しみたい。
出演は、ティム・ロス、ブルーノ・ガンツ、それに、ガンツ
とは2004年の『ヒトラー』でも共演のルーマニア出身の女優
アレクサンドラ・マリア・ララが3役を好演している。
『東京オンリーピック(ハイライト版)』
2002年に『スキージャンプ・ラージヒル・ペア』を発表して
話題を呼んだ映像作家の真島理一郎が、自分が好きだという
映像作家たちに声を掛け、海外も含めた15組の作家によって
制作された架空スポーツの映像祭典。
その劇場版は、海外3作家の作品を除く10競技及びその他の
作品による2時間27分で構成される。因に、題名のOnlyPic
とはOnly Picturesの略で、今夏北京で行われるスポーツの
祭典とは関係ない。またPictureをPicと略すのは海外でも普
通に行われているものだ。
という作品だが、全体的には玉石混淆と言う感じで、特に、
『スキージャンプ・ラージヒル・ペア』で感じた新鮮な発想
のようなものが、あまり感じられないのは残念だった。
そんな中で、僕が多少なり気に入った作品を挙げておくと、
まずは、水野貴信監督「女子ヘルマラソン」と児玉徹郎監督
「ホームアスロン」。どちらも題名からパロディになってい
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07月06日(日)
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