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On the Production
by 井口健二
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■近距離恋愛、ビルと動物園、カンフー・ダンク、マーキュリーマン、シティ・オブ・メン、ラストゲーム
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『近距離恋愛』“Made of Honor”
『魔法にかけられて』のジャック・デンプシー主演のラヴ・
コメで、先の全米興行では、第1週に超大作の『アイアン・
マン』に次ぐ第2位と健闘した。
大学時代からの親友同士の男女が、女性が別の男性との結婚
を決めたことから、近すぎた関係だった2人の感情に微妙な
変化が訪れる。映画を観ているときに、もはや死語かもしれ
ない「初恋」なんて言葉を思い出した。
2人の出会いは最悪だった。ハロウィンで大騒ぎの大学で、
女性から貰ったメモを頼りに女子寮に潜り込んだ主人公が、
そこにはいないはずだったルームメイトの女性を間違えて襲
ってしまったのだ。
彼女はそんな大騒ぎの中でも浮かれず自己を守れるような、
ちょっとお固い感じの女性。でも、何となく馬が合ってしま
った2人は、卒業後も交際を続けるが、生来がプレイボーイ
の男性と卒業後は仕事一筋の女性は結婚なんて、端から考え
ていなかった。
しかし、彼女がイギリス出張でしばらく会えなかったとき、
彼の心に何かが生じ始める。ところが出張から帰ってきた彼
女からは意外な報告が…出張先で現地の男性と恋に落ち、彼
と結婚するからその花嫁の介添え人を頼みたいと言うのだ。
その頼みに主人公は…
原題はMaid of Honorのもじりと判るが、何故Madeなのかは
不明。本来は男性にその役が回って来ることはないはずのも
ので、その辺のすったもんだもお笑いの対象になっている。
それとアメリカ人のイギリスに対するコンプレックスみたい
なものも面白かった。
ただし物語のメインテーマは、彼女の心を取り戻すために、
真の男になろうと努力する主人公を描いて行くもの。その涙
ぐましい努力が笑いと感動を呼ぶものだ。
物語の前半は、現代アメリカを象徴するような都会の背景か
ら、後半はスコットランドの意外なほどに雄大な自然の中で
物語が進む。湖の辺の古城や教会など、そんな背景の美しさ
も楽しめた。
共演は、『M:i:V』のミシェル・モナハンと、オスカー監督
賞受賞者でもあるシドニー・ポラック。なお、共演「者」で
はないが、主人公が犬好きという設定になっているため、何
種類かの犬が登場する。それがちょっと物語のキーになって
いるのも、犬好きには嬉しい作品だった。

『ビルと動物園』
坂井真紀と小林且弥の共演で、現代生活の中で自己の目標を
見失った男女の出会いを描いた作品。短編映画で受賞歴のあ
る齋藤孝監督の長編第1作。
男性は21歳、北関東の出身で音大に通う4年生だが、将来の
目標もなく、ビルの窓拭きのアルバイトの忙しさを理由に、
就職活動や教育実習も怠っている。そんな彼が、ある日、ビ
ルのオフィスで働く女性と窓越しに目を合わせる。
女性は29歳、彼女も地方出身者で、実は上司との不倫関係に
あったが、それも解消を迫られている。そして地元で一人暮
しの父親からは、地元の青年の見合い写真が送られてくるよ
うになっていた。
そんな2人があるきっかけで交際を始めるが、なかなか解か
り合えるまでには至らない。しかしお互いを思う気持ちが、
徐々に彼ら自身を変化させて行く。
題名は、主人公の同僚がビルの窓を動物園に見立てた発言を
元にしているが、その発想自体は物語にそれほど活かされて
いる訳ではない。その発想自体で、もっとコメディな作品が
あってもいいようにも感じたが、本作はどちらかというと真
面目に、現代に生きる若者の姿を描いたものだ。
僕自身は、東京には通えるところに生まれ育ったし、そのま
ま結婚してしまったから、このような地方から来て一人暮し
をしている人たちの寂しさとか不安などは良く判らない。そ
んな目で見ていて、この人たちの姿は、羨ましくもあるし、
本当はそんなこと言っていられないほど厳しいものでもある

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05月11日(日)
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