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On the Production
by 井口健二
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■P2、パーク・アンド…、西の魔女が…、ノー・カントリー、幻影師…、悲しみの乾くまで、センター・オブ・ジ・アース(特)、88ミニッツ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『P2』“P2”
2006年6月に紹介したフランス製サスペンス映画『ハイテン
ション』の監督アレクサンドル・アジャが、本作では脚本と
製作を務めたR−18指定のサスペンス作品。
クリスマス休暇の前日、残業をして最後にビルを出ようとし
た女性が、地下駐車場に閉じ込められる。そこには、いつも
彼女を遠くから見詰めていた警備員がいて…。因に、題名の
『P2』は、パーキングの2階という意味で使われているも
のだ。
休暇中のビルに閉じ込められるというお話は、他にもいろい
ろありそうだが、近年の携帯電話を始めとするコミュニケー
ション手段やセキュリティーの問題を絡めると、なかなか信
憑性のある作品は難しい。
そんな中での本作は、比較的巧みに作られた作品と言えそう
だ。しかも、R−18指定になるような描写も取り入れて、そ
れは観客を満足させるように作られている。他にもトラウマ
になりそうな痛い描写もあって、その辺もよく計算されてい
る感じがした。
通常、セキュリティーと言うのは2重3重に掛けられるもの
だが、こういう犯罪者が警備員として入り込んでしまうと、
こうも無防備になってしまうものか。お話として出来過ぎの
部分も当然あるが、ある意味、これは警鐘として捉えたくな
る部分もある作品だ。
監督は、『ハイテンション』には俳優として出ていたフラン
ク・カルフーン。MTVやCFの経験はあるようで、本作が
長編監督デビューだが手堅い演出を見せている。因に本作で
は出演もしているようだ。
出演は、TV『エイリアス(第5シーズン)』に出演のレイ
チェル・ニコルズと、『アメリカン・ビューティー』などの
ウェス・ベントリー。因にニコルズは、この後、トム・ハン
クス主演“Charlie Wilson's War”、新作“Star Trek”、
映画版“G.I.Joe”などにも出演している。
また、主人公の上司の役を『ダーク・ウォーター』や『SA
W IV』にも出演のサイモン・レイノルズという俳優が演じ
ているのだが、信頼しているIMDbという映画データーベース
に掲載されていなかった。どうした訳なのだろう。

『パーク・アンド・ラブホテル』
2005年に情報誌のぴあが主催するPFFアワードを受賞した
熊坂出監督が、PFFスカラシップによって製作した作品。
今年のベルリン映画祭に出品されて新人監督賞を受賞した。
ラブホテルの女主人と3人の女性の交流が描かれる。
最初の女性は、プチ家出をしている少女。髪を白く染めて、
街角の風景をポラロイドで撮りながらそのラブホテルの前に
やってくる。すると、老人から幼い子供までの男女がそこに
入って行くのが目に留まる。
好奇心から後を追った少女は、そのラブホテルの屋上が小さ
な公園になっていることを知る。それはそのホテルの女主人
が、遊び場のない町の人たちに開放しているものだった。そ
して女主人から寝床を提供された少女は、しばらくそこで暮
らすことにするが…
次の女性は、女主人が毎日路上を履き掃除している頃に、速
歩でその前を通過していた。しかし今まで言葉を交わしたこ
とはなかった。それが16年目に初めて言葉を交わす。その女
性は夫に不満があるらしく、無給でいいから働かさせてくれ
と頼み込む。
3人目の女性は、学究者らしい。彼女は金属製のアタッシュ
ケースを手に、毎日違う男とホテルにやってくる。そんな女
性を疎ましくも思う女主人だったが、ある日女性は、女主人
の秘密を知ってしまう。
こんな3人の女性と女主人の生きる姿が暖かな視線で描かれ
て行く。シチュエーションは特異に見えるが、ふと在っても
いいような感じにも思え、本当に在ったらいいなとも思える
ものだ。そんな温かさも魅力的な作品だった。
熊坂監督は、新人と言ってもテレビマンユニオンに参加して

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03月09日(日)
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