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On the Production
by 井口健二
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■ハンティング・パーティ、受験のシンデレラ、なつかしの庭、丘を越えて、ブレス、ブラックサイト、ゼア・ウィル・ビー…、紀元前1万年
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ハンティング・パーティ』“The Hunting Party”
リチャード・ギア、テレンス・ハワードの共演で、ボスニア
−ヘルツェゴヴィナの戦争犯罪を追うジャーナリストを描い
た作品。
ギアは、オスカーの受賞式でもチベット問題を発言するなど
国際政治に関しては一言ある人だ。そんなギアの主演で描か
れたボスニア問題。撮影は主にはクロアチアで行われている
が、サラエボの現地で撮影された衝撃的なシーンも次々登場
する。
物語はエスクァイア誌に載った記事に基づくとされており、
その記事ではいまだ未逮捕の戦争犯罪人ラドヴィアン・カラ
ジッチを3人のジャーナリストが追跡し、その間にCIAに
間違われるなどして、隠蔽された驚愕の事実を知るというも
のだそうだ。
この映画はそこからヒントを得たフィクションだが、映画の
最初には「この物語の嘘だと思うような部分こそが真実だ」
というようなテロップが表示される。
昨年9月に紹介した『カルラのリスト』が、やはりボスニア
の戦争犯罪を追うドキュメンタリーで、その中でも当事者の
各国が戦争犯罪人を匿っているのではないかという疑いが提
示されていたが、本作も同じ疑問を提示する。
しかもそれにはCIAも関わっているかも知れないという話
は、最近の他のハリウッド映画も観ていると、もうアメリカ
人も驚かない真実のようだ。なお、懸賞金500万ドルの懸け
られたカラジッチは、今も「行方不明」だそうだ。
ギア、ハワード以外の出演者には、3人目のジャーナリスト
役に『イカとクジラ』などのジェシー・アイゼンバーグ、映
画ではフォックスと呼ばれる戦争犯罪人にクロアチアの舞台
俳優のリュボミール・ケレケス。他に、ダイアン・クルーガ
ー、ジェームズ・ブローリン、ディラン・ベーカーらが共演
している。
映画の最後には、映画のキャラクターと実在の人物との対比
なども紹介され、まあこれらのことが事実だと認めざるを得
ないものではあるようだ。
ただこの映画の結末は、ここまでを事実だとすると、ちょっ
と話がおかしくなってしまうもので、物語としての結論は欲
しかったのかも知れないが、これは蛇足だったようにも感じ
られた。
『受験のシンデレラ』
灘高、東大理科3類卒業の精神科医で、東大在学中から塾講
師としても名前を知られていた和田秀樹の原案・監督による
東大受験とガンの終末医療を題材にした作品。因に和田は、
大学生時代には自主映画を制作した程の映画マニアで、念願
かなっての監督デビューだそうだ。
物語は、末期ガンで余命1年半と知らされた塾講師が、町で
見掛けた恵まれない境遇の少女を、高校卒業認定を経て東大
受験にまでに導くというもの。その受験のテクニックは和田
自身の経験に基づき、終末医療に関しては、中川恵一=東大
付属病院/緩和ケア診療部長のアドヴァイスを受けている。
「受験の神様」と呼ばれ、年収も億を越えるという塾講師の
五十嵐が、検診で末期ガンと診断される。治療のためにはい
くらでも金を積むと言い放つ五十嵐だったが、親友でもある
担当医は最新の現代医療を持ってしても治療は不可能と告げ
る。
そして担当医は、余命を伸ばすことは出来ないが、その残さ
れた時間を濃くすることは出来ると語り、適切なケアを行え
ば、死の直前まで平常の生活を維持してその間に充実した人
生最後の時を過ごせると説明する。
一方、家庭の事情で高校を1カ月で中退した真紀は、小さな
梱包会社に勤めながら放蕩な母親との生活を支えていた。そ
の彼女には、コンビニで商品を1個ずつ購入することで消費
税を倹約するような才能はあったが、生活は行き詰まってい
た。
そんな2人が巡り逢い、五十嵐は最後の時を懸けて真紀を東
大に合格させようとするが…
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03月02日(日)
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