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On the Production
by 井口健二
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■第154回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 まずはアカデミー賞の結果の報告から。
 主要部門の結果に関してはご存じの方も多いと思うが、僕
が注目していた部門では、VFX賞は『ライラの冒険−黄金
の羅針盤』が獲得した。予想はVES賞も受賞の『トランス
フォーマー』だったが、投票直前の12月公開作の方が印象が
強かったと言うことなのだろう。特に去年の夏は、他にもい
ろいろあったのが印象を散漫にした可能性はありそうだ。
 続いてメイクアップ賞は、こちらもちょっと意外な『エデ
ィット・ピアフ』の受賞となった。でもよく考えると、作品
の評判が極めて悪い“Norbit”は、日本人としては残念だが
仕方のないところで、『パイレーツ…』はメイクというより
はCGIエフェクトの印象が強い。投票者の多くが俳優であ
ることを考えると、俳優が身体を張っている作品が選ばれる
のは順当というところかもしれない。
 一方、長編アニメーション賞は、正しく磐石という感じの
『レミーのおいしいレストラン』だったが、この受賞式では
プレゼンターとしてスティーヴ・カレルとアン・ハサウェー
が登場し、そこに“Get Smart”のテーマが流されたのは嬉
しかった。もちろんこれは、2人がそのリメイク版に主演し
ていることによるものだが、6月20日の全米公開を目指して
プロモーションは順調のようだ。なお“Get Smart”の日本
公開は10月11日の予定になっている。
 この他、『スウィーニー・トッド』が美術賞を獲得。それ
に助演女優賞を『ナルニア』の白い魔女でもあるティルダ・
スウィントンが『フィクサー』で受賞したのも嬉しかった。
また、主演女優賞のマリオン・コティアールは本人も驚いて
いたようだが、これで男優も含め演技賞が全員ヨーロッパ人
というのも珍しい結果になったものだ。
 後は、『ノー・カントリー』のジョエル&イーサン・コー
エン兄弟が、脚色、監督、作品賞を総ざらえしてくれたが、
初期の頃にはサム・ライミの協力者でもあった2人が、正に
スプラッター映画を髣髴とさせる連続殺人鬼を描いた作品で
受賞するというのも見事なことだ。
 それから、名誉賞を受賞した98歳の美術監督ロバート・ボ
イルが、ヒッチコック、ノーマン・ジュイスンと共に、ドン
・シーゲルの名前を挙げてくれたことも嬉しかったが、この
人たちは何れも彼にオスカーノミネーションをもたらしてく
れた監督だったようだ。そしてその間の映像では、ヒッチコ
ック監督の『鳥』のデザイン画と映像が紹介されたが、この
他に彼は、1953年の3D映画“It Came from Outer Space”
や、1985年のジョー・ダンテ監督作品の『エクスプローラー
ズ』なども手掛けた人(『エクス…』では出演もしている)
で、SF/ファンタシー系映画になじみのある人の受賞は、
特に嬉しくも感じられた。
 今年は、全体としてSF/ファンタシー系の受賞は少なか
ったが、ポイントでの話題はいろいろある受賞式だった。
 以上でアカデミー賞の報告は終りにして、以下はいつもの
製作ニュースを紹介しよう。
        *         *
 最初は、前回の最後に追加で紹介したテリー・ギリアム監
督作品“The Imaginarium of Doctor Parnassus”の情報の
続きで、前回報告したジョニー・デップ、ジュード・ロー、
コリン・ファレル3人の参加が確実になっている。
 この件に関しては、前回の報道で物語が多少詳しく紹介さ
れていて、それによると、物語の中で主人公が旅する想像の
世界は3つあるのだそうだ。従って、その3つの世界を3人
の俳優がそれぞれ受け持てば、各自の負担も小さくなるとい
う考えで交渉が進められたようだ。
 一方、3人の俳優の状況だが、まずデップは第154回でも

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03月01日(土)
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