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On the Production
by 井口健二
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■バンテージ・ポイント、カフェ代官山、愛おしき隣人、告発のとき、ラフマニノフ、ねこのひげ、恋の罠、チェスト!
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『バンテージ・ポイント』“Vantage Point”
アメリカ大統領暗殺をメインテーマにしたパズル的な要素も
あるアクション作品。
物語の舞台は、スペインの古都サラマンカ。ここで、アラブ
諸国と西欧の首脳が一同に会する歴史的な外交会議が開催さ
れようとしていた。その会議に先立ち、市の中心の建物に囲
まれた広場では、アメリカ大統領が市民への挨拶を行うこと
になっていた。
その模様を生中継で追うテレビ中継車。その中では、女性の
ディレクターがてきぱきと指示を出し、大統領の到着やデモ
隊の様子、市長の歓迎の挨拶などが順調に放送される。そし
て大統領が演壇に立ったとき、1発の銃声が鳴り響き大統領
が倒れる。
シークレットサーヴィスのバーンズは、以前の任務で大統領
への銃撃を身を挺して阻止し重傷を負い、その日が任務への
復帰の日だった。そして大統領が演壇に立つ直前、彼は一つ
の窓に不審な動きを見るが…
地元警察の刑事エンリケは、市長の警護のためにその広場を
訪れた。しかし彼がその広場を訪れたのには別の理由もあっ
た。そして彼の目の前で大統領が銃撃され、市長に駆け寄ろ
うとしたエンリケはバーンズに取り押さえられる。
このような全部で8つの視点からの物語が順番に展開されて
行く。しかもそれぞれの物語は11時59分を起点に、一々その
時点に戻って物語が繰り返して提示されて行くことになる。
このように複数の視点から物語を描いて行く手法は最近の流
行のようでもあるが、トリッキーな展開は、時に観客の理解
力などが試されることにもなる。しかし本作ではそのような
心配もなくストレートに物語を楽しめる。その作り方が特に
巧みに感じられた。
それに本作では、後半には見事なカーチェイスを含む大アク
ションも展開されるのだが、前半のトリッキーな展開からそ
こに持って行く過程の描き方も見事。また居合わせた旅行者
や地元の少女など、偶然の関係者を描く臨場感にも素晴らし
いものがあった。
出演は、テレビディレクターにシガーニー・ウィーヴァー、
バーンズにデニス・クウェイド、エンリケに2003年4月に紹
介した『ノボ/NOVO』のエドゥアルド・ノリエガ、大統
領にウィリアム・ハート、居合わせる旅行者にフォレスト・
ウィティカーなど。
製作は、『ワイルド・スピード』『トリプルX』から『アイ
・アム・レジェンド』まで手掛けるアクション専科のニール
・H・モリッツ。
なお、脚本のバリー・レヴィと、監督のピート・トラヴィス
は共に映画界では新人のようだが、編集を、2006年『カジノ
・ロワイヤル』などのステュアート・ベアードが手掛けてお
り、本作のキーポイントはこの辺にもありそうだ。
『カフェ代官山』
昨年3月に紹介した『きみにしか聞こえない』などの金杉弘
子脚本によるイケメン映画。
同じ脚本家の作品では、『スキトモ』と『そして春風にささ
やいて』も紹介しているが、最近のこの手の日本映画の中で
はそれなりに信頼できる作家だと注目している。特に『きみ
にしか…』の脚本は、SFとしての出来も良く僕は高く評価
しているものだ。
その金杉脚本による本作の物語は、亡き父親の跡を継ぐため
パティシエを志す青年が、父の盟友だったパティシエのいる
代官山のカフェを訪ね、修業を始めようとするというもの。
ところが、そのカフェは3人の若者が仕切っていて、肝心の
マスターは旅行に出たまま店にはいない。
そこで、「マスターがいないなら」と帰ろうとした青年は、
何故か店に引き留められる。そして何かと意味の無いターン
をするリーダーと、サーディンというミドルネームを持つパ
ティシエと、琴で占いをするウェイターと共に、その店で働
くことになる。
しかし青年には、彼ら3人の店での行動が理解できない。一
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02月10日(日)
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