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On the Production
by 井口健二
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■桃まつり真夜中の宴、フィクサー、燃えよ!ピンポン、アメリカを売った男、ブラブラバンバン、NAKBA、王妃の紋章
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『真夜中の宴』
プロデューサーなどの肩書きで、すでに映画業界に進出して
いる女性たちが集まって製作された短編集。公開はA、Bの
2プログラムに分けてそれぞれ6本ずつで行われるが、試写
会では1本ずつが未完成(?)で5本ずつが上映された。
全体の印象は、意あって力足らずなのか、全部が満足できる
という作品ではなかった。それに、撮影はいずれもディジタ
ルヴィデオ(DV)で行われているが、映画画質へのこだわ
りなのか、画面が妙に暗かったり薄ぼけていたりで、鑑賞に
は多少努力が要った。
その中で取り敢えず気に入ったのは、笹田留美監督・脚本・
主演の『座って!座って!』。実は、上映前に監督の挨拶が
あり、その時の印象と映画の中の印象のギャップもあって、
その辺でも感心したものだが、物語の纏まりも良く、会場で
数少ない笑い声の出た作品でもあった。
この作品は種も仕掛けもなくて、今回上映された10本の中で
は一番シンプルな作品かも知れない。しかし、そのシンプル
さが今回他の9作品に足りなかったのではないか、そんな感
じもしてきた。それは、今の日本映画の全体にも言えるよう
な気もするところだ。
その他では、大野敦子の『感じぬ渇きと』と『granite』の
2作が、水と火という対照的な題材を扱って気になったが、
特に前者で、海外の旱魃の話をここに持て来られても如何と
もしがたいもので、それが言いたいのなら、もっと別のやり
方があったのではないか。正に、意ばがりが先走っている感
じがしたものだ。
一方、竹本直美の『明日のかえり路』と『あしたのむこうが
わ』の2作は、共に父親と息子の関係を描いているが、これ
は自分が父親として違和感があった。特に後者では、敢えて
息子が死ぬ必要があったか、彼の息子は生きていてケーキ屋
が過去に息子を亡くしているという展開の方がドラマになっ
たような気もしたが…
去年は招待されなかったが、例年、年末にはNCWという映
画学校の学生さんたちによる短編の上映会を鑑賞してきた。
そこでも女性のクリエーターが増えてきて、中にはかなり注
目できる作品も登場している。
商業映画でも、昨年は『ゆれる』『めがね』『さくらん』な
ど女性監督による素晴らしい作品をいろいろ観させてもらっ
た。これからも女性監督の進出には期待したいものだ。

『フィクサー』“Michael Clayton”
主演のジョージ・クルーニーが今年のオスカー候補になって
いる作品。アメリカの法曹界を背景に、特別な業務に携わる
弁護士の姿を描く。
主人公のマイクル・クライトンは、中堅の法律事務所に所属
するベテラン弁護士。彼が携わる業務はその事務所の依頼人
が引き起こしたスキャンダルのもみ消し。それは、彼が業界
で長年培ってきた各方面とのコネクションがあってこそ可能
なものだった。
このため、彼の仕事は事務所内でも重宝がられていたものだ
が、彼自身はそんな裏の仕事には嫌気が差していた。しかし
ギャンブル好きの彼は、投資に失敗して多少やばい筋からの
多額の借金を抱えることになってしまう。
一方、彼の勤める法律事務所は、さらに大手事務所との合併
を画策しており、その手土産として公害企業に対する集団訴
訟での被告企業側の弁護の成功を目指していた。ところが、
その担当弁護士が突然おかしくなり、主人公はその始末をす
ることになるが…
この公害企業の法務担当者役を、『ライオンと魔女』で白い
魔女に扮したティルダ・スウィントンが演じ、彼女も助演賞
の候補になっている。また脚本と監督は、“Jason Bourne”
シリーズの脚本を手掛けたトニー・ギルロイ。監督はデビュ
ー作だが、本作で監督賞・脚本賞の候補にもなっている。
『エリン・ブロコビッチ』の逆で、本作は企業を守る側の弁

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02月03日(日)
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