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On the Production
by 井口健二
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■第152回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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今回は新年早々のショックだったこの話題から。
SF/ファンタシー系の映画ファンにもいろいろ馴染みの
あった2人の若手俳優が相次いで亡くなった。
先は1月15日に亡くなったブラッド・レンフロー。レンフ
ローは、1994年の『依頼人』、1995年の『マイ・フレンド・
フォーエバー』などで知られているが、僕には1998年の東京
国際映画祭に出品された“Apt Pupil”(ゴールデン・ボー
イ)が印象に残る。イアン・マッケラン扮する元ナチの戦犯
を追い詰めながら、逆にそれに感化されて行く少年の姿は、
当時の世相も反映して恐ろしいくらいの迫真のものだった。
彼はこの演技で映画祭の主演男優賞も獲得したものだ。
しかしその後は、麻薬絡みの事件で繰り返し逮捕されるな
ど私生活は乱れ続け、映画の仕事もあまり芳しいものは残し
ていない。最近では、2005年12月29日に紹介した『ジャケッ
ト』にも出演していたが、The Strangerという役名で、主役
級のものではなかった。ただ、現在ポストプロダクション中
の“The Informers”という作品は、『レス・ザン・ゼロ』
などのブレット・イーストン・エリスの原作で、作品紹介欄
にはvampireなどという単語も見えるもの。1983年のロサン
ゼルスを舞台にした群像劇とのことで、アンサンブルキャス
トの一員としての出演だが、海外での公開は今年の秋以降に
予定されており、映画祭などでの上映も期待したいものだ。
* *
そして、もう1人は1月17日に亡くなったヒース・レジャ
ー。レジャーは、2005年の『ブローバック・マウンテン』で
アカデミー賞にノミネートされるなど、正にキャリアの絶頂
という感じだった。そのレジャーが敵役ジョーカーに扮した
『バットマン・ビギンズ』の続編“The Dark Knight”は、
すでに撮影完了しており、7月18日に全米公開が確定してい
る。日本公開は9月20日の予定だそうだ。
しかし、続けて撮影に入っていたテリー・ギリアム監督の
“The Imaginarium of Doctor Parnassus”(第147回参照)
は、実写部分の撮影を終了して、これからVFXシーン用の
撮影となっていたもので、実はこの作品の製作続行がかなり
厳しくなっている。
実際、ギリアム監督はかなりお手上げ状態のようで、急遽
信頼関係のあるジョニー・デップに応援を求めたという情報
もあったようだが、それも実現は難しそうだ。つまり、現実
と想像の世界が交錯する物語で、撮影はイギリスでの現実シ
ーンが終り、これからカナダ・ヴァンクーヴァの撮影所で想
像シーンの撮影となっていた。そこで、この想像シーンだけ
配役をデップに変えるというアイデアだったようなのだが、
デップにはすでにマイクル・マン監督の“Public Enemies”
の撮影が決まっていて、スケジュールが取れそうにない。
因に、ヴァンクーヴァでのVFX撮影の予定は3月上旬ま
でとされていたものだが、一方“Public Enemies”の撮影開
始はシカゴで3月10日となっており、スケジュールはかなり
タイトになる。しかも、夏に予定されるストライキのことも
考えると撮影開始を遅らせる訳には行かず、シカゴとヴァン
クーヴァでは掛け持ちも難しい。
ということでデップの出演が難しいとなると、レジャー/
デップ・クラスの俳優での代役は見付かりそうになく、製作
続行はかなり厳しいのが現実のようだ。ギリアム監督では、
2000年にデップ主演で進められていた“The Man Who Killed
Don Quixote”が、共演者ジャン・ロシュフォールの急病で
製作中止になって以来の、悪夢再来となってしまいそうだ。
一方、亡くなったレジャーも、今年のオスカー候補になって
いるエレン・ペイジを主演に迎えての監督デビューが計画さ
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02月01日(金)
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