ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■裸足のギボン、デッド・サイレンス、ビルマ/パゴダの影で、窯焚、ジェリーフィッシュ、軍鶏、死神の精度、靖国
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『裸足のギボン』“맨발의 기봉이”
幼い頃に罹った熱病で脳の成長が8歳で止まってしまった男
性の実話に基づく物語。
主人公のギボンは40歳。身体は生長したが心は純粋な少年の
ままだ。ギボンは母親と2人暮し、年老いた母親は自分が先
に逝ったときのことを考え、そんな息子にも厳しく躾をして
いる。そしてギボンは、近所の人たちが与える半端仕事で僅
かな金を稼いでいた。
ところがある日、町で開かれたマラソン大会の沿道で、選手
の落としたゼッケンを拾ったギボンは、そのゼッケンを届け
ようとレースに飛び入り参加、落とした選手を探す内に、一
番でゴールに入ってしまう。
それを知った村長は、ギボンを全国的なハーフマラソン大会
に出場させ、迫っている次期村長選挙での自分への人気獲得
に利用しようと考える。一方のギボンは、母親の健康維持に
必要な入れ歯がマラソン大会の賞金で買えることを教えられ
る。
そんな思惑が重なり、町長は自らトレーナーを買って出て、
マラソン大会優勝を目指すトレーニングが始まるが…
このギボンを、『家門の危機』の好漢シン・ヒョンジュンが
演じ、母親役を、やはり『家門の危機』に出演のキム・スミ
が演じる。この他、『トンマッコルへようこそ』のイム・ハ
リョン、『誰にでも秘密がある』のキム・ヒョジン、『家門
の危機』のタク・チェフンらが共演。
同様の韓国作品では、2002年の『オアシス』、05年の『マラ
ソン』などが思い浮かぶところだが、今回は主人公の年齢が
40代ということで、特に『マラソン』と比べるとキム・スミ
演じる母親の存在が大きくなってくる。その点では、息子の
行く末を気遣う老いた母親の姿は、見事に演じられていた。
それに対してシンが演じたギボン役は、『オアシス』でのム
ン・ソリの演技などに比べると、多少物足りなさも残るとこ
ろだが、身体の不自由さに対する演技を伴った『オアシス』
と比べるのは酷というものだろう。それより実話に則した主
人公の無邪気さ、明るさがそれなりに表現されていたことを
評価するべきものだ。
感動的な実話の映画化だが、あまりお涙頂戴になっていない
のも良い感じがした。またエンディングのナレーションは、
「すべての人生は、神様の手で書かれた童話のようである」
という製作の意図をよく現していた。

『デッド・サイレンス』“Dead Silence”
『ソウ』シリーズの脚本家リー・ワネルと監督ジェームズ・
ワンが、再び仕掛けるホラーサスペンス。
主人公は幼い頃から父親に疎まれ、家を出て都会で新家庭を
築こうとしていた。しかしある日、新居に差出人不承の荷物
が届き、届いた箱の中にはビリーという名の腹話術人形が納
められていた。そして彼が家を空けた僅かの間に、妻が舌を
抜かれて惨殺されてしまう。
その人形が届いたとき、主人公と同郷の妻は、故郷に伝わる
伝説めいた詩の話をしていた。それは、“Beware the stare
of Mary Shaw / She had no children only dolls / And if
you see her in your doreams / Be sure to never ever
scream”というもの。
この詩に登場するメアリー・ショウは、腹話術師だった。
その詩に隠された意味を探り、妻の死の謎を解くため、主人
公は故郷へと向かう。そこで見出すのは車椅子に乗った父親
の変わり果てた姿。そして、メアリー・ショウの腹話術人形
が引き起こす悪夢のような連続殺人が開幕する。
腹話術と言われると、SFファンには星新一の長編『夢魔の
標的』が思い浮かぶところだが、映画には意外と登場してい
ないのだそうで、1978年にアンソニー・ホプキンスが主演し
た『マジック』が数少ない例として挙げられていた。
(なお1月19日公開で、『すみれ人形』という日本映画が腹

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01月27日(日)
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