ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460297hit]
■スウィーニー・トッド、俺たちの明日、うた魂♪、魔法にかけられて、奈緒子、胡同の理髪師、L、マイ・ブルーベリー・ナイツ
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師』
“Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street”
ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演のゴールデン
コンビで、1979年のトニー賞受賞ミュージカルを映画化した
作品。
18世紀のロンドンの下町を舞台に、復讐に燃える理髪師と、
彼を助けるパン屋の女主人を巡る物語。この物語について、
以前は実話に基づくという説もあったが、最近は19世紀に発
表された創作が基になっているという説が有力だそうだ。
ロンドン下町のとある建物の2階で理髪店を営む主人公は、
美しい妻と生まれたばかりの娘と共に平穏な暮らしをしてい
た。ところが妻に美しさに目をつけた判事の策略によって彼
は無実の罪で捕えられ、15年の刑を処されてしまう。
そして15年後、刑期を終えた主人公がロンドンに帰ってくる
と、店の在った一帯は荒れ果て、妻子の姿もそこにはなかっ
た。
彼の理髪店の階下にはパン屋があったが、ミートパイが売り
物のその店は、肉の高騰でろくな商品が作れず、店も寂れて
いた。そして店に立ち寄った主人公は、女主人に正体を見破
られるが…彼は自らを判事への復讐を誓ったスウィーニー・
トッドと名告る。
これに、成長した娘や彼女に想いを寄せる若者、さらに『ボ
ラット』のサッシャ・バロン・コーエン扮するライヴァルの
理髪師とその助手などが絡み、世にも恐ろしい復讐劇が展開
する。
アメリカではRレイト、日本での公開もR−15。つまり未成
年者は鑑賞が制限されているものだが、それもうなずける内
容で、『チャーリーとチョコレート工場』の気分で観に行っ
たデップ+バートン・ファンには、かなり強烈な体験になり
そうだ。
でも、バートン監督の作風はこれが本来のものだし、その意
味では元からの監督のファンには納得という感じの作品にな
っている。それに、血の流れがチョコレートに見えないこと
もないが…いやいやこれは間違いなく血の色だ。
その他の共演者は、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リ
ックマン。それに、『ハリー・ポッター』シリーズに出演の
ティモシー・スポール。さらに脇役陣には、ロンドンの舞台
ミュージカルなどから若手が起用されている。
ボナム=カーターの歌は、『コープス・ブライド』でも披露
されていたが、リックマン、コーエン、それにデップの歌声
は未知だった。でも全員が見事な歌を披露しているもので、
特にデップは、楽曲自体があまり音域を要求されるものでは
なかったとは言え、堂々とした歌いっぷりで映画に納まって
いた。
『俺たちの明日』“우리에게 내일은 없다”
社会の底辺で暮らす2人の若者の物語。
主人公はレンタカー屋の車庫で働き、ビルの地下にあるスタ
ジオに住んで、気晴らしはドラムを叩くこと。そんな主人公
には弟のように保護している若者がいるが、実は以前に主人
公が彼に性的な障害を与え、以来負い目もあって目が離せな
くなっているようだ。
その若者は母親との2人暮らし、母親は彼の父に捨てられて
から宗教に填るなど、精神的に少しおかしくなっている。そ
して若者は、常々銃さえ手に入れば…と思っていたが、風俗
店で働いていたある日、偶然その銃が手に入ってしまう。
日本の映画でも過去にあったような、そんな若者たちの物語
だ。恐らくはこれが映画の生み出し続ける基本のテーマの1
つなのだろうし、こういう映画が連綿と作られているのが映
画の意味というものかも知れない。
どの作品も同じようなことが起き、同じような結末に終始す
るものではあるが、その作られる時代や場所の状況を背負っ
て映画は作られて行く。それは悪いことではないし、映画に
とって必要なもののようにも思える。
[5]続きを読む
01月06日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る