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On the Production
by 井口健二
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■ウォーター・ホース、団塊ボーイズ、クリアネス、君のためなら千回でも、シスターズ、東京少年、NEXT
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『ウォーター・ホース』
        “The Water Horse: Legend of the Deep”
1934年に発表された湖面から長い頸を上げて泳ぐネッシーの
写真。その写真によってネッシーは一躍有名になる。ところ
が1993年に亡くなった男性が、死に際に「写真はトリックだ
った」と告白し、その話題も世間を賑わした。
そんな状況も踏まえたネッシーにまつわる物語を、1995年の
ヒット映画『ベイブ』の原作者としても知られるディック・
キング=スミスが著わした原作小説の映画化。
時代は1930年代の初めの頃、ヨーロッパ本土ではナチスドイ
ツが台頭し、イギリスもその侵略に怯え始めている。その影
は、当時8歳の主人公の住むスコットランドにも忍び寄って
いた。
主人公の父親はその土地の領主だったようだが、海軍の兵士
として戦地に行ったまま長く家を空けている。一方、主人公
は幼い頃から水に対する恐怖心があったが、ある日、水辺で
不思議な楕円球状の石のようなものを見つけ、父親の研究小
屋に運び込む。
その主人公一家の住む屋敷にはイギリス軍が駐留を開始し、
司令官の大尉の許、ネス湖の防衛陣地を構築する。さらに、
1人の青年が屋敷に現れ、母親に雇われたその青年は、研究
小屋を片付けてそこに住み込むようになる。
そして主人公が持ち込んだ石が割れ、中から…。こうして、
ネス湖のネッシーの伝説の物語が開幕する。
僕は1975年の夏休みにロンドンを訪れた際に、鉄道でネス湖
まで行ったことがある。一時のブームは去った頃と思うが、
夏の暑い日の湖畔は静かで、立ち寄った古城には、僕と乗っ
てきたタクシーの運転手の他は、数人しかいなかったように
覚えている。
その運転手は、実際にネッシーを見たことがあるそうで、公
式の目撃者登録番号も持っていると自慢げに語って、ネッシ
ーの絵葉書をプレゼントしてくれたものだ。
そんな訳で、僕には多少思い入れもあるネス湖ネッシーの話
なのだが、物語は実に判りやすく少年の成長を描いており、
『ベイブ』と同じ原作者と聞いて成程とも思わされた。そし
て映画では実在するネッシーをWETAディジタルが描き出
して、これはもう見事なものになっている。
特に、幼いネッシーが猛犬と引き起こす騒動は良くできてい
たし、また問題の写真以外のネッシーを写した有名な写真の
数々が、映画の中で本物のネッシーの姿として動画で再現さ
れているのは嬉しかった。
ただ、現実のネス湖は淡水湖で海からは切り離されているも
のだが、この物語では海に繋がったフィヨルドのように描か
れていて、その点は疑問を挟まざるを得なかった。物語上、
そうしなければならない理由も余りないし、不思議に感じた
ところだ。
出演者は、主人公の少年に2005年9月に紹介した『ミリオン
ズ』のアレックス・エテル、母親役にエミリー・ワトスン、
大尉にデヴィッド・モリッシー、謎の青年にベン・チャップ
リン、ナレーターにブライアン・コックスなど。
監督は、2000年の『マイ・ドッグ・スキップ』が印象に残る
ジェイ・ラッセルが巧妙な演出を見せている。

『団塊ボーイズ』“Wild Hogs”
ジョン・トラヴォルタ、ティム・アレン、マーティン・ロー
レンス、ウィリアム・H・メイシーの共演で、中年後半に差
し掛かった男たちの焦りや不安を、バイクに託して解消する
姿を描いた作品。
トラヴォルタが演じるのは破産宣告された元実業家、アレン
の役は仕事中のストレスとメタボリックが気になる歯科医、
ローレンスはベストセラー作家を目指し1年間休職中の配管
工(成果は出ていない)、そしてメイシーはこの歳になって
もオタクのコンピュータプログラマー。
この4人も、昔は「Wild Hogs=野性の豚」と名告り、揃い

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01月13日(日)
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