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On the Production
by 井口健二
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■明日への遺言、Mr.ビーン、テラビシア、アメリカン・ギャングスター、勇者たちの戦場、そして春風にささやいて、トリコン、黒い土の少女
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『明日への遺言』
B級戦犯として1949年9月17日に処刑された元東海軍司令官
・岡田資中将の裁判での闘いを描いた大岡昇平の原作「なが
い旅」を、『雨あがる』『博士の愛した数式』などの小泉堯
史監督・脚本で映画化した作品。
1945年5月14日、名古屋市に対する絨毯爆撃が行われ、その
際に撃墜されたB29の搭乗員が6月28日に斬首処刑された。
岡田中将ら東海軍の兵士たちはその罪に問われ、1948年3月
8日から横浜法廷において裁判が行われた。
しかし、米軍による都市部への無差別爆撃は国際法に違反し
たものではなかったか。その争点に立って、岡田は搭乗員の
処刑がジュネーブ条約に違反する捕虜の殺害ではなく、戦争
犯罪者への正当な処刑であったことを主張する。
僕は戦後の生まれだが、僕が生まれ育った神奈川県平塚市も
終戦間際の爆撃で市街地の大半が焼失したようだ。実は、当
時の平塚市は市街地の後背部に海軍火薬厰が置かれており、
子供の頃には米軍のスパイが作った地図で火薬厰と市街地が
逆に書かれていたために市街地が誤って爆撃されたと聞かさ
れていた。しかし今回の映画を観て、それが無差別攻撃の結
果であったことが理解できた。
映画は最初にピカソの「ゲルニカ」を映出して、この物語が
無差別攻撃に関わるものであることを明白にする。そして無
差別攻撃の違法性についての説明もされる。
だからと言って、戦時中のこととは言え、岡田らの採った行
為の正当性が何処まで主張できるものかは判らない。しかし
この映画は、敢えてそこには深く踏み込まず、米軍の行った
無差別攻撃が、国際法上で違法な行為であったことを明白に
描いているものだ。
今回、共同脚本を担当した日本在住の劇作家ロジャー・パル
バースは、3年前のアメリカだったらこの物語は受け入れら
れなかっただろうと語っている。でも、今のアメリカならこ
の物語は共感を得られるかも知れないとのことだ。
米軍は、日本でもヴェトナムでも、イラクでも市民を巻き込
む無差別攻撃を繰り返しているものだが、それが罪に問われ
たことはない。そんなアメリカ国民に、この映画が一石を投
じたら面白いところだ。
出演者は、岡田役の藤田まこと、その妻役の富司純子の他、
弁護人役ロバート・レッサー、検事役フレッド・マックィー
ン、判事役リチャード・ニール。また、蒼井優、田中好子ら
が証人役として出演している。

『Mr.ビーン/カンヌで大迷惑?!』“Mr.Bean's Holiday”
ローワン・アトキンスンが演じる大迷惑男Mr.ビーン久々の
登場。
テレビの人気者だったMr.ビーンが、前回映画館に飛び出し
たのは1997年、もう10年も経ってしまったものだ。前作の時
は、確か渋谷パンテオンで日本での披露試写が行われ、僕は
いろいろあって、芸能人の座る2階席で「王様」の少し後ろ
で観た記憶がある。
前作は、ロンドンの美術館の監視員だったMr.ビーンが、カ
リフォルニアの美術館に展示される絵画のお披露目の席に誤
って派遣され、滞在中そのカリフォルニアの美術館の職員の
家や美術館で大迷惑を繰り広げるというもの。
当時のMr.ビーンの人気をそのまま映画に持ってきたような
作品だったが、Mr.ビーンが一所懸命になって頑張れば頑張
るほどド壺に填っていく姿が、哀愁を込めて描かれていた。
しかもこの哀愁が何とも良い感じで、唯のお笑いではないな
と感じさせてくれたものだ。
そして今回のMr.ビーンは、教会の屋根の修繕か何かのため
の募金くじが行われ、そこで特賞のカンヌ旅行を当ててしま
うことから始まる。それにはヴィデオカメラも副賞に付いて
いて、彼はカメラ片手に旅立つが…
イギリス人は英語しか話さず、フランス人はフランス語しか
話さない、という考えが根底にあるようで、Mr.ビーンは、

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12月20日(木)
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