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On the Production
by 井口健二
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■第148回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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ここ何回かは、毎度のように登場するストライキの話題だ
が、ついに製作延期の事態に陥る作品が出始めた。
現時点で延期が発表されているのは、ソニーの“Angels &
Demons”“Edwin A. Salt”、ワーナーの“Justice League
of America”“Shantaram”、TWCの“Nine”、MGMの
“Pinkville”など、いずれも以前にこのページで取り上げ
た期待作ばかりで心苦しいところだが、それぞれ製作開始直
前の最後の脚本改訂が脚本家のストに引っ掛かったものだ。
因に“Angels & Demons”では、前々回紹介したように、
製作者で脚本も担当するアキヴァ・ゴールズマンが、自ら手
掛けた脚本が物足りないとしていたものだが、そのリライト
作業が進まない内にストライキとなってしまった。このため
2月からの撮影も無理と判断されている。
ただしこの作品に関して、ソニーの製作担当者は「現在の
脚本でも充分に強力」と判断しているようで、一応公開日を
2008年12月19日から09年5月15日に延期とした上で、撮影は
2008年早期に行うとしている。また製作延期の発表後にも、
トム・ハンクスの相手役としてナオミ・ワッツが報告される
など、脚本以外の製作準備は着々進められているようだ。
一方、第140回で紹介したトム・クルーズ主演のスパイス
リラー“Edwin A.Salt”は、予定されていたテリー・ジョー
ジ監督が降板を表明、替って製作者だったマイクル・マンが
監督することになったものの、監督の希望する脚本のリライ
トが不可能になってしまった。
さらに“Justice League of America”では、俳優のスク
リーンテストなども行われていたが、実は肝心の脚本はまだ
完成していなかったもので、これは延期も仕方のない状況だ
ったようだ。ただし、ジョージ・ミラー監督の許、配役もほ
ぼ固まってきているようで、ストライキ明けには一気に進む
ことになりそうだ。
また、“Shantaram”は、準備された脚本では製作費が掛
かり過ぎることが判明して、エリック・ロスが製作費削減の
リライトを開始したところでストに突入してしまった。しか
もスト明けを待っての製作では、ロケ地がモンスーンのシー
ズンに入って撮影が困難になるという状況もあるようだ。
しかしこの作品の場合は、監督のミラ・ナイールも、製作
者のグラハム・キングも、主演で製作も担当するジョニー・
デップも、撮影可能になり次第の再開を明言しており、多少
は遅れるものの、映画が製作されることは間違いないとされ
ている。因にナイール監督は、2001年の『モンスーン・ウェ
ディング』で国際的な評価を受けたが、今回はそのモンスー
ンの影響でも製作が延期になってしまったものだ。
また“Nine”では、マイクル・トーキンの脚本に対して、
製作者のアンソニー・ミンゲラが手直しを開始したものの、
3日目にストに突入。しかもミュージカル仕立てのこの作品
では、脚本が完成しないとロブ・マーシャル監督によるダン
スの振り付けなどもできないため、製作は完全にストップし
ているとのことだ。因にこの作品では、キャストからキャサ
リン・ゼタ=ジョーンズの離脱も発表されているが、これは
ストとは関係ないそうだ。
そして“Pinkville”は、正に撮影開始の直前だったもの
だが、脚本も手掛けるオリヴァ・ストーン監督の撮影中にも
脚本を改訂したいという行為が、脚本家組合員でもある監督
には認められなかったとのことだ。
いずれの作品も、ストライキ終結後の早期の製作再開を目
指してはいるが、作品によっては条件が厳しくなるものもあ
るようで、ストライキは各方面にいろいろな波紋を広げ始め
ているようだ。
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12月01日(土)
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