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On the Production
by 井口健二
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■モーテル、ルイスと未来泥棒、ヒッチャー、肩ごしの恋人、PEACE BED、全然大丈夫、真・女立喰師列伝
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『モーテル』“Vacancy”
『アンダーワールド』のケート・ベッキンセール主演による
サスペンス。
本編の物語より以前の出来事で離婚の危機にあるらしい夫婦
が、ふと立ち寄ったモーテルで恐怖の体験に陥れられる。
ヒッチコックの『サイコ』が嚆矢と呼べるのかな、アメリカ
映画でのモーテルを舞台にした恐怖映画は、『ドラキュラ』
や『フランケンシュタイン』といった古典的な恐怖舞台を現
代化したという意味でも重要なジャンルと言われるようだ。
そんなモーテルの恐怖を描く映画の流れを丁寧に受け継いだ
作品。しかもヴィデオカメラなどの現代機器を小道具に配し
て、さらに現代化を進めている。
モーテルというのは、日本ではラヴホテルと同義語のように
なってしまっているが、自動車社会で、さらに町間の離れた
アメリカでは旅行に必要不可欠なものだろう。それが、一方
ではラスヴェガスのように大発展し、他方ではこの映画の舞
台のように寂れている。
そんな人里離れた寂れたモーテルの経営者が、小遣い稼ぎに
始めた事業。それは、施設内で一番豪華なスウィートルーム
に隠しカメラを仕掛け、泊り客を暴漢に襲わせ、闇ルートに
流す殺人スナッフヴィデオを製作することだった。
しかし、今回そのモーテルの泊り客となった夫婦は、離婚の
危機で常に緊張感を持つ故もあってか、出来事には比較的冷
静に対処し、暴漢たちに対応して行く。
例えば、暴漢たちはヴィデオに映るためにナイフを使わなけ
ればならないが、主人公の側にはそんな配慮はない。そんな
様々なアドヴァンテージを活かして行くことになる。これは
モーテルの主人にとっては、正にF**Kと繰り返したくな
るような事態だろう。
そんなまあ、ひねくり回すといろいろ面白い、そんな感じに
仕上がっている。それに主人公たちが現実的に対処するため
VFXはほとんどなく、極めてリアルに描かれているのも本
作の魅力と言える。
因に、撮影はソニーがMGMから買収した撮影所で行われた
が、モーテルとガソリンスタンドの外観セットはそのステー
ジ15、その昔に『オズの魔法使い』を撮影した歴史的なサ
ウンドステージに建てられたそうだ。
それから映画の内容では、確認はできていないが、多分夫婦
の会話が映画の前半では互いに「自分が悪い」とは言っても
相手に対する謝罪の言葉がない。それが後半変化して行く。
そんなところも丁寧に作られた作品だった。
なお、映画の中でソニー製のヴィデオの編集機材が映るが、
コンシューマー用では中途半端に値の張る機材が備えられて
いるのもニヤリとした。
共演は、夫役に『チャーリーズ・エンジェル』『Gガール』
などのルーク・ウィルスン。他に、フランク・ホエーリー、
イーサン・エムブリーらが脇を固める。

『ルイスと未来泥棒』“Meet the Robinsons”
1937年12月21日に『白雪姫』が全米公開されてから70周年の
記念作品。また、ピクサーとディズニーとの合併によって、
ピクサー創設者で『トイ・ストーリー』の監督ジョン・ラセ
ターが、ディズニー・アニメーションのトップの座に着いて
からの最初の作品となる。
絵本作家ウィリアム・ジョイスの原作『ロビンソン一家のゆ
かいな一日』を基に、様々な映像的なアイデアを盛り込んで
作られた作品。なお、ジョイスは原作と共に製作総指揮の肩
書でもクレジットされている。
主人公のルイスは、赤ん坊の時に施設の入り口に置き去りに
され、以来13年間を施設の管理者ミルドレッドの愛情の許で
育ってきた。しかし無類の発明狂のルイスは、里親希望者と
の面接で失敗を繰り返し、ティーンエイジャーの里子は難し
いと言われる年齢になっている。
そんなルイスの最新発明は、人間の記憶の隅っこにある映像

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10月10日(水)
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