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On the Production
by 井口健二
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■第144回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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まずは、この情報から。
第124回などで報告してきた『LOTR』を巡るピーター
・ジャクスンとニューライン(NL)の訴訟について、審理
を行っていた裁判所の判事から、ジャクスン側の主張をほぼ
認めて、NLに12万5千ドルを支払よう求める裁定の出され
たことが報じられた。
この裁判では、ジャクスン側がNLに対して適正な興行収
入からの取り分の請求を行っていたものだが、これに対して
NL側は反論の証拠書類などの提出を怠り、結局ジャクスン
側の全面勝利ということになっている。今後は3週間以内に
NL側に再反論の機会が与えられているが、今回の裁定の出
されたのが9月17−21日の週のようで、10月の第2週がその
期限になるものだ。
それにしても、世界中で何億ドルも稼いだ映画に関する訴
訟の金額が12万5千ドルというのも意外だったが、実はこの
裏には映画テレビのプロデューサー連盟とアメリカ脚本家組
合との間で行われている交渉の関係もあったということで、
お互い面子を掛けた裁判でもあったようだ。その点では予断
を許さない部分もあるが、第142回で紹介したようなNL側
の事情も考えると、このまま決着という可能性も高そうだ。
ということで裁判が決着すれば、いよいよジャクスン、フ
ィリッパ・ボウエン、フラン・ウォルシュ脚本による“The
Hobbit”3部作が現実味を帯びてくる。JRR・トーキンの
原作から『LOTR/旅の仲間』までを繋ぐ物語は、ジャク
スンらが『LOTR』3部作の映画化の際に行った検討を踏
まえて新たに造り出すもので、その物語が、さらにサム・ラ
イミ監督によって実現されるか…楽しみになってきた。
* *
以下は、いつものように製作ニュースを紹介しよう。
ダッフルコートに帽子を被り、ウェリントンブーツを履い
て旅行鞄をぶら下げた姿で、欧米では『プーさん』と並んで
人気の高い“Paddington Bear”を実写映画化する計画が、
『ハリー・ポッター』シリーズの製作を進めるデイヴィッド
・ハイマンとワーナーから発表された。
ロンドンのパディントン駅で迷子で発見された人語を話す
1匹のクマが、ブラウン一家の居候となって、いろいろな騒
動や冒険を繰り広げる。原作は、マイクル・ボンドが1958−
79年に発表した11冊の子供向けのシリーズで、1970年代には
イギリスのBBCテレビでアニメーションシリーズ化もされ
ている。
この原作シリーズから、今回の計画では、今春公開された
“Mr.Bean's Holiday”が好評のハーミッシュ・マコールが
脚本を書き、実写+クマにはCGIを使って、『スチュアー
ト・リトル』のような映像化を目指すというもの。なおワー
ナーでは、原作シリーズの中の特定の1冊を映画化するので
はなく、シリーズ全体の中からいろいろなエピソードを抽出
して物語を再構築する方針のようだ。
因に原作には、主人公をロンドンに暮らす海外からの移住
者たちに準えて、異文化間の交流を考える今日的なテーマと
して捉える見方もあるそうだ。
* *
前回はエドワード・ノートンとの共演を報告したばかりの
ブラッド・ピットに、今度はマーク・ウォルバーグとの共演
の計画が発表された。
題名は“The Fighter”。ウォルバーグ扮するボクシング
ライト級チャンピオンのミッキー・ワードが、チャンピオン
になるまでを描く実話に基づく作品とのことだ。
この作品でピットは、チャンピオンの異母兄で彼も有能な
ボクサーだったディッキー・エクランドを演じる。しかし彼
は犯罪に走り、収監もされてしまう。その彼が、弟の努力す
る姿を見て再起し、有能なトレーナーとなって共にチャンピ
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10月01日(月)
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