ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■花蓮の夏、ディスタービア、コンナオトナノオンナノコ、ブレイブワン、ここに幸あり、サウスバウンド、ヒートアイランド
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『花蓮の夏』“盛夏光年”
男性2人と1人の女性による三角関係の物語。と言ってもこ
の三角形は女性が頂点ではなく、一方の男性がゲイで…とい
う設定のものだ。
昨年11月に『スキトモ』という作品で同じような設定の物語
を紹介しているが、台湾映画の本作は去年本国で公開された
もので、製作はこちらの方が早そうだ。それに日本映画は、
すでにそうなっている状況から始まったが、本作ではそこに
いたる経緯も描かれる。
主人公は、惑星(ジェンシン)、恒星(ショウヘン)、彗星
(ホイジャ)と名付けられた3人。優等生の惑星と、スポー
ツマンの恒星の付き合いは小学生時代に始まる。実は、粗暴
で手を焼く恒星の友達になることを、教師が惑星に命じたの
だ。
こうして惑星は、常に恒星の傍に居るようになり、恒星は惑
星を親友と思うようになって行ったが…この間、惑星の成績
は徐々に低下。そして惑星は大学受験に失敗、一方、恒星は
スポーツ推薦で大学に合格してしまう。
こんな2人の前に、彗星は高校時代に現れる。転校生で友達
のできない彗星に最初に話し掛けた惑星は、2人でデートも
重ねるようになるが、ある日、彼女と入ったラヴホテルで、
惑星は自分の違う感情に気づいてしまう。
その彗星は恒星と同じ大学に合格。予備校に通いながらも恒
星の誘いを断れない惑星と、改めて彗星を見初めた恒星の三
角関係が出来上がる。
主演のブライアン・チャンとジョゼフ・チャンは共に映画は
初主演だが、台湾のテレビなどではすでに人気者のようだ。
本作で2人は台湾金馬奨新人賞にノミネートされ、惑星を演
じたブライアンが受賞している。この2人を含め、本作では
台湾・金馬奨4部門の候補になった。
また彗星を演じたケイト・ヤンは、『The EYE 3』にも出演
している香港、台湾で活躍中の新進女優とのことだ。
ゲイを描く作品は、ハリウッドにもない訳ではないが、中国
や東南アジアの作品ではその設定を見かけることが多いよう
に感じる。中国の独子政策で女子の赤ん坊が間引かれ、若者
の男子比率が高いという俗説もあるが、そんなことも反映し
ているのだろうか。
『ディスタービア』“Disturbia”
“Indy 4”への出演が話題のシャイア・ラブーフ主演による
ティーンズ・サスペンス。
父親の目前の事故死で自暴自棄になった若者が、暴力行為で
自宅拘禁を命じられ、刑期の3カ月を郊外の自宅の中心から
30m以内で過ごすことになる。そして、自室の窓から周囲を
覗いていた若者は、怪しげな隣人の動きに目を留める。
ヒッチコックの名作『裏窓』を、見事に現代に甦らせたとで
も言えそうな快作。骨折で身動きできない『裏窓』の主人公
に対して、本作の主人公は裁判所の命令で足首に監視装置を
装着され、家の前庭より先には出られないという仕組みだ。
そんな主人公が、怪しい隣人の動きに連続殺人犯の疑いを強
め、別の隣に引っ越してきた若い女性や、東洋系の親友の助
けを借りて真相を暴いて行く。そこには、ヴィデオカメラや
監視機材、携帯メールなど現代の情報機器も総動員される。
先に『裏窓』を甦らせたと書いたが、本作は物語を単になぞ
るのではなく、そこに数々のアイデアが盛り込まれている。
それは、もしヒッチコックが現代にいたらこれと同じものを
作ったのではないか、そんなことを思わせるまさに天才のな
せる技が見えるものだ。
「覗き」がテーマの映画も数々あるが、現代人が利用できる
技術の粋を凝らして覗くということでは、かなり良い線を行
っていると思われる作品。同様のテーマでは、1974年に僕が
初めてアメリカに行ったときに観た“Extreme Close-Up”を
思い出す。
“Extreme …”は、ベストセラー作家マイクル・クライトン
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09月20日(木)
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