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On the Production
by 井口健二
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■第143回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 今回も、最初は高精細度(High-def)DVDに関するBlu-
rayとHD-DVDの規格の覇権争いの話題で、また1つ面白い発
表が行われた。
 ニューラインが今夏のヒット作『ヘアスプレー』のDVD
を11月20日に全米発売するのに当たって、同社が初めて発売
するHigh-defのフォーマットを、当面はBlu-rayだけとする
と発表したのだ。ここで、ニューラインはファミリー会社の
ワーナーと一緒でHigh-defのフォーマットはまだ両陣営に参
加しており、従ってBlu-rayとHD-DVDの両方を出せる体制と
なっている。それなのに今回Blu-rayだけとしたことに関し
ては、その理由を、リージョン制限のないHD-DVDでは、まだ
劇場公開中の地域で興行の妨害になるのを避けるためと言っ
ているのだが…
 実は現在、主要国の中でこの作品がまだ一般公開されてい
ないのは、10月26日に公開予定の日本くらいのもの。そこに
11月20日の発売では、公開から1カ月以内はまだロードショ
ウも継続中と考えられ、従って、この発言は日本を考慮した
ことのようにも取れる。ところが、Blu-rayのリージョンコ
ードは従来のDVDに比べて大幅に簡略化され、北中南米と
日本、南北朝鮮、香港、東南アジアは同じリージョンAとな
っているのだ。このため、アメリカで発売されたBlu-rayの
ディスクは、日本でも観られることになってしまう。
 一方、リージョンBのヨーロッパとフランスの支配地域、
中東、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドや、リ
ージョンCのインド、バングラディシュ、ネパール、中国本
土、パキスタン、ロシア、中央および南アジアの状況を考え
ると、問題になりそうなヨーロッパはほとんど公開が済んで
いるし、その他の国・地域ではHigh-defの普及率はさほど高
いとも考えられない。
 こうなると、今回の発言はただの言訳のようにも思われ、
当面出さないとされたHD-DVDのディスクは果たして発売され
るのか、少なくともクリスマスシーズンには間に合いそうも
ないが、その成り行きは面白いことになりそうだ。
 なお、今年のクリスマス向けのHigh-defディスクの全米発
売では、11月13日に『シュレック3』(HD-DVDのみ)と『オ
ーシャンズ13』(両方)、12月4日に『パイレーツ・オブ
・カリビアン3』(Blu-rayのみ)などとなっており、いよ
いよ規格の覇権争いは熾烈になってきそうだ。
        *         *
 以下は、いつもの製作ニュースを紹介しよう。
 最初の情報は、1999年の『ファイト・クラブ』で共演した
エドワード・ノートンとブラッド・ピットが、再びスクリー
ン上で戦いを繰り広げることになった。
 作品は“State of Play”。元々はポール・アボットの脚
本から、後に『ハリー・ポッター』を手掛けるデヴィッド・
イェーツが監督、2003年にイギリスで放送された全6時間の
ミニシリーズを劇場版にするもの。内容は、ノートン扮する
政界で一躍頭角を顕した政治家が、愛人の死によって警察の
捜査を受けることになる。対するピットが演じるのは、元政
府関係者からジャーナリストに転じた男。彼は最初は政治家
との個人的なつながりから事件報道を抑えていたが、やがて
捜査は殺人事件へと発展して行く。そしてジャーナリストは
政治家の別居中の妻に接近して行くが…というものだ。
 リング上の殴り合いではなさそうだが、ノートンとピット
の腹の探り合いの芝居が観られそうだ。
 因に、この計画はかなり以前からあったもので、ピットは
その当初から参加していたようだ。ところが、“Lions for
Lambs”などのマシュー・マイクル・カーナハンが執筆した
脚本から、『ジェイソン・ボーン』シリーズのトニー・ギル

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09月15日(土)
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