ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460302hit]
■未来予想図、ロンリーハート、僕のピアノコンチェルト、夜顔、僕がいない場所、めがね、インベージョン、Mayu
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『未来予想図』
Dreams Come Trueの同名の楽曲を原案として、現代に生きる
若者の恋模様を描いた作品。
学生時代からつきあっていた男女が、自分の夢を全うするた
めに別々の道を歩まざるを得なくなる。そのための別れは、
厳しい痛みを伴うことになるが…
今更ながら、女性の社会進出が進む中では、こういう男女の
物語も数多く発生しているのだろうなと思わせる作品だ。
脚本は、狗飼恭子と志羽竜一という2人が手掛けているが、
古典的なすれ違いのストーリーの中に、バルセロナを訪れた
り、伝統的な打ち上げ花火職人の話を織り込んだり、さらに
そこにウェブを介在させるなど、現代社会の状況を巧みに反
映させている。
主人公の2人は、大学の映画サークルで結婚式シーンの新郎
新婦役に駆り出されたことから付き合いが始まる。そして、
2人は卒業後も付き合いを続けていたが、女性が当初の希望
だった編集の職場に再就職が叶い仕事を始めた矢先、彼に長
期の海外での仕事が決まる。
彼の赴任先はスペイン・バルセロナ。2人は卒業旅行でその
地を訪れており、10年後にまた一緒に来ようと誓いあった場
所だった。そして、一緒に来て欲しいと望む彼に対して、彼
女は別れを告げる。こうして別々の道を歩み始めた2人だっ
たが…
主演は、去年9月に『アジアンタムブルー』を紹介している
松下奈緒。相手役は『仮面ライダー剣(ブレイド)』の竹財
輝之助。他に、原田泰造、西田尚美、加藤雅也、石黒賢、松
坂慶子らが脇を固めている。
監督は、平山秀幸監督作品や先に紹介した田壮壮監督の『呉
清源』の助監督を務め、今回が長編デビューの蝶野博が担当
している。
元々の楽曲が、未来予想図を思い描いて、それを思い続けて
いれば、何時か願いは叶うというような内容のようで、映画
も2人の未来予想図が結実するまでを描いている。
もちろん映画は、バルセロナに行ってしまったり、夢物語の
ような部分も有りはするが、そこには、現在にどんな困難が
待ち構えていても、それを乗り越えて行く勇気が必要である
ことも描いていて、その辺の描き込みはなかなか巧みなよう
にも感じられた。
『ロンリーハート』“Lonely Hearts”
1940年代後半に全米を震撼させた結婚詐欺師にして連続殺人
犯レイモンドとマーサの犯罪を描いた作品。脚本・監督のト
ッド・ロビンスンは、映画でジョン・トラヴォルタが演じる
刑事エルマー・C・ロビンスンの孫にあたるそうだ。
犯罪の手口は、当時は沢山いた戦争未亡人を狙って、新聞の
交際欄「ロンリーハーツ」で住所を捜し、文通で相手の資産
状況を見極めて交際を申し込み、巧みに信用させて結婚、そ
して財産を奪ったら消えるというもの。
軍人の妻であったという自意識の高い当時の戦争未亡人は、
世間の目を気にして、詐欺と判っても警察に被害を訴えるこ
とが少なかったという事情もあったようだ。しかし、レイモ
ンドとマーサが出会ってからは状況が一変し、彼らは短絡的
に殺人を犯すようになる。
このレイモンド役を、『チャプター27』にも出ていたジャ
レッド・レトが演じ、マーサ役をサルマ・ハエックが演じて
いる。特にレトの変貌ぶりは見事で、撮影は当然『チャプタ
ー27』の方が後のものだが、これは実に凄い。ぜひ両者を
見比べてほしいものだ。
トラヴォルタは、近年は饒舌な役柄が多いということだが、
本作では最初は本人も躊躇したというほどの寡黙な役柄で、
過去を背負い、その経緯もあって捜査に熱中してゆく刑事を
熱演している。
他に警察側の共演者は、トラヴォルタとは4回目になるジェ
ームズ・ガンドルフィーニ。また、ローラ・ダーンも出演し
ている。
アメリカ史上最悪の犯罪の一つとも言われ、女性が死刑に処
[5]続きを読む
09月10日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る