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On the Production
by 井口健二
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■呉清源、リトル・レッド、ヴィーナス、バイオハザード3(特別映像)、大統領暗殺、ストレンヂア
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『呉清源』(中国映画)
昭和初期に来日し、戦前戦後の日本囲碁界で永く頂点の座に
君臨した天才棋士・呉清源の人生を、中国第5世代の監督・
田壮壮が描いた作品。
映画は、2004年に撮影された呉清源本人の現在の姿から始ま
り、チャン・チェンが演じる戦中・戦後の動乱期を生きた棋
士の姿へと繋いで行く。
物語では、棋士としての対局の様子だけでなく、日本人女性
との結婚や戦後の耐乏生活。さらに宗教にのめり込んでしま
う姿なども描かれる。それは、日本人にとっての昭和史を観
るようでもあり、ちょっと不思議な感覚にも襲われるものだ
った。
ただし映画は、その辺の状況が必ずしも克明に描かれたもの
ではなく、随所に呉清源の内面の言葉らしきものが字幕で挿
入されたりもするが、今一つ物語の展開は明確ではない。特
に宗教と女性の関係の辺りは、映画を観ている間はほとんど
理解できなかった。
事前に伝記を読んでいたりすれば、恐らくは個々の場面の意
味ももっと理解できたのだろうが、そうではない観客にはか
なり戸惑いが生じるのではないかとも思える。
でもまあ、物語は実際に呉清源が歩んだ道筋を辿っているも
のだし、そこに何があってもそれが真実である訳だから、そ
れをどうこうと言えるものでもない。その意味では、ただ黙
って観ていればいい、というものかも知れない。
日本側の共演は、柄本明、仁科貴、松坂慶子、大森南朋、井
上堯之、野村宏伸、伊藤歩、南果歩、宇都宮雅代、米倉斉加
年。さらに中国側では、母親役でシルビア・チャンが出演し
ている。
因に、衣装を担当したワダエミの言葉によると、シナリオで
は最初に中国のシーンがもっと長くあり、70歳代になってか
らのシーンもあったということだ。その辺についての監督の
説明では、主人公の内面に迫るためにカットしたということ
のようだ。
しかし、1時間47分の上映時間は、人一人の人生を描くには
決して長いものではないし、人の人生は内面だけでもない訳
で、撮影されたフィルムがあるのなら、別ヴァージョンの編
集も観てみたいところだ。
『リトル・レッド』“Hoodwinked”
童話の赤ずきんをモティーフに、新たな視点で描かれたCG
Iアニメーション。アメリカ公開では、第1週に興行1位を
記録した。
主人公のレッドは、おばあさんの作るお菓子を自転車で配達
している元気な女の子。
ある日、森の奥のおばあさんの家を訪ねたレッドは、おばあ
さんの振りをしてベッドに寝ていたオオカミに襲われそうに
なる。そこにぐるぐる巻きに縛られたおばあさんがタンスか
ら飛び出し、さらに半ズボンのきこりも窓から飛び込んでき
て…
この事件の捜査に警察隊が出動するが、冬眠中だったクマの
所長は不機嫌で事件を早く決着させろと言うばかり。ところ
が、現場に現れたカエルが、森で頻発しているレシピ泥棒の
事件との関連を調べ出す。
そのレシピ泥棒の事件とは、森で営業しているお菓子屋が、
次々レシピを盗まれて廃業に追い込まれているというもの。
そしてその最後の狙いはおばあさんのレシピと思われる。
ところが尋問が開始されると、レッド、おばあさん、オオカ
ミ、きこりの証言は食い違うばかり、しかも意外な素顔が観
えはじめ…
赤ずきんをモティーフにしてはいるが、パロディではなく、
推理劇からアクションまでいろいろ盛り込まれたサーヴィス
満点の作品と言える。特に後半のアクションになってからの
処理が見事で、これならアメリカでNo.1ヒットになったのも
頷ける作品だ。
またこの手の作品によくある映画のパロディも満載。ねたば
れにつながるのでその説明は割愛するが、その辺も実に丁寧
に作られていて、大人にも充分楽しめる作品であることは間
違いない。
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08月10日(金)
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