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On the Production
by 井口健二
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■デス・プルーフ、プラネット・テラー、マザー・テレサ、ファイアー・ドッグ、純愛、ナルコ、たとえ世界が終わっても
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『デス・プルーフinグラインドハウス』“Death Proof”
『プラネット・テラーinグラインドハウス』
                   “Planet Terror”
クエンティン・タランティーノとロベルト・ロドリゲスが、
1960年代に数多く存在したBムーヴィ専門の2〜3本立て映
画館「グラインドハウス」の再現を目的に製作した作品。
アメリカでは“Grindhouse”のタイトルの許、本編2本とフ
ェイクの予告編、それに短編アニメーションなどを揃えて公
開されたが、いかんせん全編の長さが192分の長尺となり、
観客からは敬遠されてしまったようだ。
そこで海外ではそれぞれの本編が独立の作品として公開され
る。しかもオリジナルではそれぞれ87分と86分の作品であっ
たものが、予告編・短編込みの113分と105分の拡大ヴァージ
ョンとなっているものだ。
ではまずタランティーノ監督の『デス・プルーフ』から。
タイトルの意味は、腕時計のwaterproofと同様で、防死加工
とでも訳せばいいのかな。自動車アクション映画の撮影で、
車が横転したり激突しても運転しているスタントマンに危害
が及ばないようにする設備のことを言うものらしい。
映画の前半に登場するのはジャングル・ジュリアの呼び名で
人気の地方局のDJ。街中にビルボードも建って浮かれてい
る彼女とその中間たちに恐怖が訪れる。それをもたらすのは
スタントマン・マイクと自称する元スタントマン。
そして数年後、スタントマン・マイクは別の女性たちを狙っ
ていた。ところが、そこに現れたのは女性スタントマンを含
む映画製作の女性スタッフたち。一筋縄では行かない女たち
とマイクとの壮絶な闘いが始まる。
スタントマン・マイクを演じるのは、『ニューヨーク199
7』〜『ポセイドン』のカート・ラッセル、そして後半の中
心となるのは、タランティーノ監督の『キル・ビル』2部作
でユマ・サーマンのスタントを担当したゾーイ・ベル。
ゾーイは本人役で登場し、初めて本編でドラマの演技を披露
することになったものだが、監督が彼女のために書き下ろし
たという感じのシナリオで、演技は自然だ。そして、CGI
は安全用のワイアを消しただけという、たっぷりと描かれた
車上のスタントアクションは正に観ものだ。
共演は『シン・シティ』のロザリオ・ドーソン、TV『CI
S:ニューヨーク』などのヴァネッサ・フェルリト、シェリ
ル・ラッドの娘のジョーダン・ラッド、TV『チャームド』
のローズ・マッゴーワン、シドニー・ポアティエとジョアン
ナ・シムカスの娘シドニー・ターミア・ポアティエ、映画版
『RENT』のトレイシー・トムズ、『ダイ・ハード4.0』
で主人公の娘役を演じたメアリー・エリザベス・ウィンステ
ッドなど、マニアはニヤリとする顔ぶれが揃っている。

続いてロドリゲス監督の『プラネット・テラー』は、タイト
ルからは宇宙物を想像したが…そうではなく、軍事基地から
化学兵器が漏れだして、それを吸った人たちが次々変貌して
行くという作品。しかも変貌した人間たちは、そうでない人
たちの生肉を求めて殺戮を開始し、さらに襲われた人が難を
逃れても傷口から変貌が始まってしまう。
テーマ的には、『バタリアン』の流れを汲むのかな、でもそ
れをロドリゲス監督らしく激烈に描き切っている。従って、
銃撃戦では頭は爆裂するは、手足は吹っ飛ぶはの飛んでもな
いシーンが続出。スプラッターマニアには満足度の高い作品
と言えそうだ。
しかもポスターにもなっているヒロインの姿は、映画の後半
のほとんどをCGIの合成で描き込んだもので、昔は『フォ
レスト・ガンプ』の帰還兵の姿でも驚嘆したものだが、今や
ここまで出来てしまうのかという感じもしたものだ。
そのヒロインを演じるのは『デス・プルーフ』にも出ている

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07月31日(火)
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