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On the Production
by 井口健二
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■リトル・チルドレン、ミス・ポター、レミーのおいしいレストラン、幸せの絆、フロストバイト、ウィッカーマン、遠くの空に消えた
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『リトル・チルドレン』“Little Children”
トム・ペロッタのベストセラー小説を、ペロッタと2001年の
『イン・ザ・ベッドルーム』で絶賛されたトッド・フィール
ドが脚色、フィールドが監督した作品。今年のアカデミー賞
では主演女優、助演男優、脚色の3部門でノミネートを果た
した。
題名の意味は、意訳すると「大人になれない大人たち」とな
るようだ。家庭を持ち子供もいるのにプロム・キングと呼ば
れ続けている男性や、夫の隠し事が許せず自分の感情を整理
できない女性。そんな大人の分別を弁えるべきときにそれが
出来ない人々が描かれる。
舞台はボストン郊外の住宅地。主人公のサラ(ケイト・ウィ
ンスレット)の一家は、夫が企業をブランド化する会社を創
業して成功し、3歳の娘と共に閑静なその町に引っ越してき
た。そして公園では、周りの母親たちと話しはするが、何と
なく馴染めない。そんなサラは、とある夫の秘密を目撃して
から、自分の感情を整理できなくなっている。
一方、その公園にはプロム・キングと呼ばれる父親も来てい
る。彼は高校フットボールの花形だったが、その後は法学校
を出たものの司法試験に合格せず、ドキュメンタリー映像作
家の妻の稼ぎで、本来なら試験勉強に専念しているはずの身
だった。
その閑静な町に衝撃が走る。幼女に対する性犯罪で服役して
いたロニー(ジャッキー・アール・ヘイリー)が釈放され、
町に帰ってきたのだ。そして彼を糾弾するビラが町中に張り
出される。それを行っているのは元警官の男だったが…
このロニーの帰還が触媒のようになって、男女の微妙な行動
がエスカレートして行く。
結局、題名の通りの人々の物語が展開していくものだが、果
たしてそれは、自分にとって他人事と言い切れるかどうか、
その辺の微妙なところが見る側にも心穏やかでない感覚を引
き起こす。
もちろん、個人から社会、政治に至るまで、幼児性が横行す
る現代を背景に描かれた作品ではあるけれど、大人の分別な
んて元々存在するかどうかも怪しいし、自分は大人の分別を
持っていると思い込んでいる人にも、もしかして自分も…と
思わせる作品になっている。
オスカー候補となった上記の2人の他には、パトリック・ウ
ィルスン、ジェニファー・コネリー、フィルス・サマーヴィ
ル、ノア・エメリッヒらが共演。
なお、アール・ヘイリーは、昨年12月に紹介した『オール・
ザ・キングスメン』の前に、この作品で復活したものだ。

『ミス・ポター』“Miss Potter”
「ピーター・ラビット」で知られるイギリスの絵本作家ビア
トリクス・ポターの生涯を描いた作品。ルネ・ゼルウィガー
が主演と製作総指揮を務め、相手役は『恋は邪魔者』で共演
経験のあるユアン・マクレガー。
『フォッシー』などの演出で2度トニー賞を受賞、『ミス・
サイゴン』の作詞も手掛けたリチャード・モルトビーJr.が
脚本を執筆し、1995年公開の『ベイブ』で子ブタを一躍人気
スターにしたクリス・ヌーナンが、同作以来11年ぶりのメガ
ホンを取った。
ビアトリクスは、法廷弁護士の父親の許、ロンドンで裕福な
家の子女として育てられた。そして母親からは結婚して家庭
を持つことが女の勤めと教えられているが、32歳になっても
結婚に興味はない。
それより彼女には、休暇に訪れる湖水地方で、小さい頃から
スケッチを続けてきた小動物の友達を、いつか絵本にして世
に出したいという夢があった。そしてスケッチブックを抱え
てロンドン中を巡っていたが、彼女の企画に耳を貸す出版社
はまだなかった。
そんなある日に訪れた出版社で、ついに出版のOKが出る。
ただしそれは、出版社を営む一家の末弟で、編集の経験もな
いノーマンが仕事をしたいと言い出し、そんな弟に向けての

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06月30日(土)
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