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On the Production
by 井口健二
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■第137回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 今回は記者会見の報告から、
 6月前半には、『ショートバス』『300』『ジャンゴ』
『レミーのおいしいレストラン』の記者会見を見に行くこと
が出来た。本当はこの他にもいろいろ行われているのだが、
個人的なスケジュールの都合などで、これだけしか見に行け
なかったものだ。この内、『ジャンゴ』については、邦画だ
し特別映像の上映もあったので、作品紹介の方で報告すると
して、『ショートバス』と『レミー…』では自分で質問もし
たので、その辺から紹介させてもらうことにしよう。
 まず『ショートバス』については、作品紹介でも気にした
アニメーションについて作者のジョン・ベアがどんな人物か
聞いてみた。これに対する監督の答えは、「彼はCM界では
有名な人だ」というあっさりしたもので、特別な関係がある
訳ではなさそうだった。ただし、「彼に仕事を頼むときは、
普通は彼の以前の作品の中から『このようなもの』と言って
頼むらしいが、僕は『何か新しいものを』としか言わなかっ
たんだ。そうしたら素晴らしいものが出来てきた」とのこと
で、その結果には満足そうだった。
 この他に会見では、主演のスックイン・リーが、この映画
への出演が問題にされてカナダのテレビ局を馘になりそうに
なったときに、オノヨーコやジュリアン・モーアらが抗議の
手紙を放送局に送って彼女を支援をしてくれたという話も紹
介された。その辺の経緯はプレス資料にもあまり詳しくは書
かれていなかったが、実はかなり大変な状況だったようだ。
日本でも昔、お天気お姉さんか何かでそんなことがあった記
憶があるが、単なる興味本位ではない本作の評価が伺える話
だった。
 それからこの記者会見では、通訳がsexという言葉を英語
のまま使用しているのを監督が気にして、適当な日本語はな
いのかという質問になった。これに対してはいろいろな言葉
があると答えていたが、実際にその後で、映画の後半の主人
公がベンチで寝ていると潮が満ちてくるシーンの撮影では、
実は周囲でカブトガニが集団で交尾を始めて美しかったとい
う話が出て、ここで通訳がとっさに「交尾」という日本語が
出ず、結局sexと訳してしまい、なるほど日本語は複雑だと
感じたものだ。この作品らしい会見の模様だった。
 次に、『レミー…』の会見では、ネズミが人間を操縦する
というアイデアがどこから生まれたか質問したのだが、監督
の答えは「自分が参加したときにはそのアイデアはすでにあ
った」とのことで、質問は空振りになってしまった。僕とし
ては、監督の以前の作品との絡みなども聞けるのでないかと
期待したのだが、そうではなかったようだ。ただし、監督が
参加したときの計画は完全に行き詰まっていたのだそうで、
「その突破口をいろいろ模索した中で、特に小さなネズミが
大きな人間を操縦するボディアクションでは、よりコミカル
な演出が出来るようになった」とのことだった。
 それからこの会見では、終了後に映画に出てくるコース料
理がブッフェスタイルで振舞われた。記者会見でこのような
食事の提供は、過去にも『スパイダーマン2』などで経験の
ない訳ではないが、特に今回は映画の内容にも合わせたもの
が出されるなど、配給会社の力の入り方を感じたものだ。
 後の『300』については、映画の公開もすでに始まって
いるし、僕も質問しなかったので報告することはあまりない
が、会見の雰囲気は和気藹々として良い感じのものだった。
そしてその中では、原作者のフランク・ミラーが監督のザッ
ク・スナイダーに関して、「見事に原作のイメージを映像化
してくれた。特にグラフィックノヴェルは描き切れなかった
余白の部分を完璧に埋めてくれたのが良かった」と絶賛して

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06月15日(金)
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