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On the Production
by 井口健二
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■第136回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 最初に前回積み残したこの話題から。
 前回は、ピーター・ジャクスン監督の次回作“The Lovely
Bones”について、その製作などの権利をドリームワークス
が獲得したことを報告したが、その報道から間なしに、今度
はジャクスンとスティーヴン・スピルバーグがシリーズ作品
の監督を共同で行うことを発表した。
 発表されたのは、ベルギーの漫画家ジョルジェス・レミが
ヘルゲの筆名で発表した世界的な人気コミックス“Tintin”
の映像化で、これをパフォーマンス・キャプチャーを使った
フルデジタル3Dアニメーションでシリーズ製作するという
ものだ。
 原作は、1929年に最初の作品が発表され、以来1976年まで
に全23巻が発表されたコミカル・アドベンチャーで、全世界
の累計発行部数は2億部以上、現在も毎年200万人の新規な
読者が誕生していると言われる大ベストセラーコミックス。
 スピルバーグは、このシリーズの映画化を25年以上も前か
ら希望していたもので、実は、昨年ドリームワークスがその
権利の獲得に成功、以来ジャクスンと共に密かに映画化の準
備を進めていたそうだ。また今年は、原作者の生誕100周年
ということで、その誕生日(5月22日)の直前に映画化の発
表が行われたものだ。
 そして発表された計画では、ジャクスンとスピルバーグ、
それにキャスリーン・ケネディが製作を担当し、全23巻の原
作の中から、彼らが3話をセレクトして、それぞれが1話ず
つを監督。3作目をどうするかは未定となっている。
 一方、ジャクスンが主宰するVFX工房ウェタでは、すで
に20分のテストフィルムを完成させており、それを鑑賞した
スピルバーグからは、「原作のキャラクターが、生物として
2度目の誕生を迎えた。従来のCGIを超えて、感情と魂が
感じられた」との賛辞が贈られている。また、ジャクスンの
発言では、「映像はフォトリアルなものになる」そうだ。
 原作のキャラクターは、ネットで検索すれば直ぐ出てくる
と思うが、それなりにデフォルメされた主人公が描かれてい
る。それをフォトリアルと言われてもピンと来ないところが
あるものだが、ジャクスンの発言によると「それは着衣から
髪の毛まで正にリアルで、しかもヘルゲのリアルさなんだ」
とのことだ。
 さらにスピルバーグは、「我々は最初この物語を実写で描
きたいと考えていた。しかしピーターも僕も、ヘルゲのキャ
ラクターを変えることは出来ないことに気がついた」とのこ
とで、それでこの手法が選ばれたようだが…。後の論評は、
作品を観るまで待つことにしよう。
 なお、スピルバーグは“Indiana Jones 4”の撮影を6月
に開始。一方、ジャクスンも“The Lovely Bones”の撮影を
今年の夏に行う予定だが、いずれも年内には完了の予定のも
ので、年末には2人揃って“Tintin”の映画化に取り掛かる
ことになりそうだ。
 製作はドリームワークス・アニメーションで行い、配給は
パラマウントが担当する。それにしても、結局のところは、
“The Lovely Bones”の契約は出来レースだったようで、参
加していたソニー、ワーナー、ユニヴァーサルにはちょっと
ショックな結末になったものだ。
        *         *
 『シュレック』シリーズでは声優としても大活躍している
マイク・マイヤーズが、第35回、第68回、それに第91回でも
紹介した1947年公開のダニー・ケイ主演の名作“The Secret
Life of Walter Mitty”(虹を掴む男)のリメイク計画に
参加することが発表された。
 このリメイクは、オリジナルの製作者の息子で『ミニミニ
大作戦』のリメイクなども手掛けたサミュエル・ゴールドウ
ィンJr.が権利を保有して何度も試みているものだが、最初

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06月01日(金)
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