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On the Production
by 井口健二
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■インランド・エンパイア、レミーのおいしいレストラン(特)、屋根裏の散歩者/人間椅子、ゴースト・ハウス、消えた天使
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『インランド・エンパイア』“Inland Empire”
2001年『マルホランド・ドライブ』以来となるデイヴィッド
・リンチ監督の新作。上映時間3時間の作品。
再起を狙う女優が、ポーランド映画のハリウッドリメイクで
主演の座を獲得する。しかしそのポーランド映画はある事情
で未完に終ったもの。そしてその状況をなぞるかのように、
彼女を取り巻く現実と虚構の世界が乱されて行く。
そんな彼女の状況と、オリジナルのポーランド映画、さらに
兎人間が登場するテレビ番組や、それを見続ける女性の姿な
どが交錯し、謎に満ちたリンチワールドが展開して行く。
物語はあってないようなもので、それぞれのシーンの脈絡も
付いているのかいないのか…しかし描かれているのは、間違
いなく『ツイン・ピークス』なども髣髴とさせるリンチの世
界で、アメリカでリピーターが続出したという情報も頷ける
作品だ。
多分、描かれているのはリンチの内的世界なのだろうし、そ
れを他人がとやかく言えるようなものではない。ただ、その
世界に浸ってそれを楽しめればそれで良いとも言えそうだ。
少なくとも僕は、それでこの作品を楽しむことができた。
それに、「この監督は何時までも初心を忘れていないなあ」
という感じで、それが嬉しくもなる作品だった。
主演は、共同プロデュースも兼ねるローラ・ダーン。その脇
を、ジャスティン・セロー、ジェレミー・アイアンズ、ハリ
ー・ディーン・スタントン、ウィリアム・H・メイシー、ジ
ュリア・オーモンド、メアリー・スティンバーゲン、ダイア
ン・ラッドらが固める。
さらに兎人間のエピソードでは、ナオミ・ワッツが声の出演
をしている。
また、映画の後半でたどたどしい英語を話す東洋人の女性が
登場し、どこかで観たなあと思ってクレジットを注目してい
たら、俳優名はNae、これが裕木奈江なのだそうだ。
考えてみたら、彼女は『硫黄島からの手紙』にも出演してい
たし、リンチの後にイーストウッドとは、良いキャリアを積
んでいる感じだ。この後には、アメリカで暮らす東洋人の一
家を描いた作品も予定されているようなので、頑張ってほし
いとも思った。
それから試写会では、リンチのプロデュースというコーヒー
が振舞われた。僕はコーヒーは詳しくはないが、後口の良い
飲みやすいブレンドで、しかも映画の中でもコーヒーの振舞
われるシーンがあり、同じコーヒーなのかと思うとちょっと
嬉しくもなった。コーヒーの宣伝ということなら、ぜひとも
このサーヴィスは映画館でも行って欲しいものだ。
3時間の上映時間は確かに長いし、さらにリンチの映画はど
こに何が隠されているか判らないから、観ている間は緊張の
し通しとなる。でもそれがリンチファンには堪らない訳で、
そういうファンには最高の贈りものと言える作品だ。
『レミーのおいしいレストラン』(特別映像)
ディズニー=ピクサーの新作で、アメリカは6月23日、日本
では7月28日の封切りになる作品の、最初から51分までがお
披露目された。
シェフを夢見るネズミが、パリの一流レストランの厨房に入
り込み、料理のできない見習い料理人を助けるというお話。
実はそのレストランには陰謀が渦巻いており、ネズミが助け
る見習い料理人もその渦中にあるようだ。
ネズミは人間の言葉を理解できるが、人間にネズミの声はた
だキーキーと聞こえるだけ、そんな設定をうまく活かして、
さらにレストランの先代シェフのゴーストなども絡んで、物
語が展開して行く。
と言っても、観たのはまだ前半だけなのだが、そこからの展
開にも大いに期待を抱かせるものだった。それにピクサー作
品は、過去の例を見ても期待が裏切られたことはないから、
これは全編の上映される日が楽しみというところだ。
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05月20日(日)
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