ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ゾディアック、インビジブル・W、ジェイムズ聖地へ…、寂しい時は…、毛皮のエロス、鉄板英雄伝説、ストレンジャー・C、ボラット
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『ゾディアック』“Zodiac”
1968年から70年に掛けてサンフランシスコ周辺を恐怖に陥れ
たゾディアック・キラー事件を描いた作品。
物語は、当時犯人が犯行声明と暗号文を送り付けた地元新聞
サンフランシスコ・クロニクル紙の時事漫画家で、当日の編
集会議にも出席していたロバート・グレイスミスの著作に基
づくが、実は彼は現在も事件の真相究明を続けており、事件
によって人生を目茶苦茶にされた男たちの1人だ。
1969年8月1日、クロニクル紙でまだ見習い時事漫画家のグ
レイスミスは定例の編集会議に出ていた。そこに7月4日に
発生した射殺事件に関する犯行声明が暗号文と共に届く。そ
の犯行声明には、真犯人と警察しか知り得ない犯行の状況が
綴られ、真犯人のものと確認される。
この事件を追うのは、サンフランシスコ市警のデイヴ・トー
スキー刑事。イタリア系の彼は、1968年の『ブリット』のモ
デルになったとも言われている人物。しかしこの事件は、彼
の人生に大きな影を落とすことになる。
一方、記者のポール・エイヴリーも事件を追い始める。とこ
ろが彼の行き過ぎた行動は、犯人からも注目され、それは新
聞社の方針とも対立し始める。それでも彼は信念を持って事
件を追い続ける。
そしてグレイスミスは、彼らの姿を間近で見続けることにな
るが…。いつしか彼も、事件の虜になって行く。そしてその
3人3様の生き様が、犯行の再現を織りまぜながら、ほぼ時
間軸に沿って克明に綴られて行く。
この事件については、1971年『ダーティハリー』の元になっ
たともされているものだが、実は映画とは裏腹に事件は解決
されておらず、その後も犯行声明は送り続けられた。なお本
作では、犯人が映画化を要求したようなせりふも出ていた。
監督は、『ファイト・クラブ』などのデイヴィッド・フィン
チャー。2002年『パニック・ルーム』以来の作品となるもの
だが、この5年間のブランクは、それだけこの作品に掛けた
意欲が感じられるものだ。
出演者は、ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファーロ、
ロバート・ダウニーJr.。他にアンソニー・エドワーズ、ブ
ライアン・コックス、イライアス・コーティーズらが共演。
撮影には、高感度のHDヴィデオカメラが使用され、その特
性を活かした映像が作られている。元々フィンチャーはスタ
イリッシュな映像で評価が高いが、本作では、さらにそれが
リアルな映像の中で展開され、彼の最高作とも言える。
なお、ゾディアックの最後の暗号は未解読で、グレイスミス
からは、「暗号が解けたら、ぜひ知らせてほしい」というメ
ッセージが添えられている。また綿密なリサーチを行ったフ
ィンチャーは、その中で新たな証拠を発見し、捜査本部に提
出したそうだ。
つまり事件はまだ終っていないのだ。

『インビジブル・ウェーブ』(タイ映画)
タイのペンエーグ・ラッタナルアーン監督が、日本の浅野忠
信と三石研、韓国のカン・ヘジョン、それに香港のエリック
・ツァンを招いて制作された作品。浅野は、監督の前作『地
球で最後のふたり』に続いてのコラボレーションのようだ。
主人公は香港のレストランで働く日本人料理人キョウジ。店
主であるボスの命令でボスの妻を殺害し、ほとぼりが冷める
までとタイのプーケットに身を隠すことを指示される。
そのプーケットに向かうクルーズ船の船室は、いろいろなも
のが勝手に動き始める謎の部屋だった。そしてその船内で、
キョウジは不思議な雰囲気を漂わせる子連れの女性ノイと出
会う。やがてプーケットに着いたキョウジは、安宿に居所を
定めるが…
この女性ノイを、『トンマッコルへようこそ』などのカン・
へジョンが演じて、いつものように不思議な雰囲気を醸し出
す。また、監督は、血の流れないフィルムノアールを目指し

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04月10日(火)
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