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On the Production
by 井口健二
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■ボンボン、女帝、フランドル、キャラウェイ、それでも生きる子供たちへ、300、ルオマの初恋、イノセント・ワールド
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ボンボン』“BOMBON-El Perro”
日本での登録は数10頭だけというドゴ・アルヘンティーナと
いう種類の犬を巡って、その犬種の原産地アルゼンチンを舞
台にした作品。
不況下のアルゼンチンで、主人公は最近ツイていない初老の
男性。長年ガソリンスタンドに勤めていたが、経営者が変っ
てあっさり馘になってしまったのを切っ掛けに、やることな
すこと上手く行かなくなってしまう。
そんな男が、ふとしたことから1頭の犬を飼うことになる。
しかし家族は猛反対。そこで止むなく車に乗せて放浪するこ
とになるが、その内、その犬が幸運をもたらし始める。それ
は倉庫の見張りに始まり、やがてドッグショウで評判になっ
て、種付けの依頼も舞い込むが…
アルゼンチンの不況もかなり深刻なようだが、そんな中で人
の情と信頼が次々に幸運を呼び集める。他愛もない話だし、
幸運が次々にやってくるというのも、言ってみれば甘い話だ
が、今の時代にそんな夢物語でも良いじゃないかという感じ
の作品だ。
ドゴ・アルヘンティーナという犬種は、マスティフ、ブルド
ッグ、ブルテリアを交配させて作り出され、元は闘犬用に育
成され、ピューマ狩りの狩猟犬としても使われているという
ことだが、ウェブで調べると性格はかなり獰猛とも紹介され
ていた。
ところが映画に登場する犬は、実は世界各地のドッグショウ
で受賞歴多数の名犬だそうだが、これが何と言うか動きや表
情が如何にも朴訥という感じで、幸運をもたらす犬というイ
メージにピッタリな感じだった。
一方、人間の出演者は、子役の1人を除いては全員が素人だ
そうで、本業は、監督が車を置く駐車場の係員だったり、映
画用の動物のトレーナーや映画配給業者、さらに学校の先生
だったりもするようだが、いずれもその自然な演技が実に素
晴らしい。
実は監督は、一種のドキュメンタリー的な手法で演出を行っ
ているそうだが、特に主人公が賞賛を受けたときの表情は、
実際に彼に賞賛を浴びせてその瞬間を捉えたものということ
で、これにはプロの俳優も適わないだろう。
映画の演出の手法もいろいろあるが、こんな撮り方もあると
いう見本のような作品だ。
『女帝』“夜宴”
シェークスピアの『ハムレット』を基に、古代中国の五代十
国の時代を舞台に物語を再構築して描いた中国映画。
皇帝の地位を巡って、夫婦や兄弟が殺し合った戦乱の時代。
ある国の皇帝が宮廷内で蠍に刺されて崩御する。そのとき皇
太子は、遠い国に隠遁生活を送っていたが、彼の許にも刺客
が迫り、からくも難を逃れた彼は都へと馬を走らせる。
実は、彼には若い頃に愛し合った女性ワンがいたが、彼女が
父皇帝の後妻になったために宮廷を離れ、隠遁を送っていた
のだ。しかしそのワンは、父皇帝を暗殺したと見られる新皇
帝リーの王妃となることを表明する。
一方、皇太子には宰相の娘シンチーが想いを寄せていたが…
この物語を、王妃ワンにチャン・ツィイー、皇太子にダニエ
ル・ウー、新皇帝リーにグォ・ヨウ、チンシーにジョウ・シ
ュン。その他、マー・チンウー、ホァン・シャオミンらの共
演で描き出す。
しかもアクション監督として『マトリックス』などのユエン
・ウーピンが参加、要所にはワイアーアクションが満載され
ているという作品。そしてこのアクションを、ツィイーと、
2004年に紹介した『レディ・ウェポン』などのウーが華麗に
決めている。
監督は、2003年に『ハッピー・フューネラル』という作品を
紹介しているフォン・シャオガン。それに、『グリーン・デ
ィスティニー』で共にオスカーを受賞した美術のティム・イ
ップと音楽のタン・ドゥンが協力して作り上げた。
『ハムレット』は、昔のソ連版を見た記憶がある程度だが、
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03月20日(火)
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