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On the Production
by 井口健二
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■スパイダーマン3(特)、きみにしか聞…、こわれゆく世…、心配しないで、逃げろ!いつか戻れ、待つ女、ストーン…、CALL ME ELISABETH
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『スパイダーマン3(特別映像)』
4月16日に日本でワールドプレミアが開催され、5月1日に
世界最速公開される新作の約30分の特別映像が披露された。
前作『2』のときにも特別映像が披露されたものだが、前回
の時はワイアフレームの映像などもあってメイキングに近い
感じのものだった。
しかし今回は、多分本編の前半部分の抜粋で、高層クレーン
がビルを襲うアクションや、親友ハリーの化身ゴブリンとの
闘い、サンドマンとの闘いなどが次々に紹介された。特に、
サンドマンには彼の背景なども含めて編集されていた。
ただし、今回のメインの敵はヴェノムになるはずだが、その
部分は巧妙に隠されていた感じで、さらに興味をそそられる
感じがしたものだ。
他に、メリー・ジェーンとの恋の行方なども登場はしたが、
ここにも隠されている部分はたっぷりとありそうで、本当に
公開を待ち切れなくさせるようなものだった。
その一方で、今回出演しているはずのブライス・ダラス・ハ
ワードに関しては、映像も、プレス資料の紹介も一切なし。
情報によるとコミックスでのパーカーの恋人の役ということ
だが、ここにハワードクラスの配役なら、それなりに重要な
役柄となるはずだし、この辺も気になったところだ。
それにしても、ゴブリンとの闘いはビルの谷間を飛び回るス
ピード感も見事で、撮影から映像の完成までに2年間が掛け
られたというのは、掛け値なしに信じられる映像だった。
さらにこの闘いでは、ハリーとピーターの立場の違いが微妙
に反映される演出も見事で、これは本当に期待が高まったも
のだ。

『きみにしか聞こえない』
以前に『ZOO』という作品の映画化を紹介している乙一原
作の映画化。
乙一は短編の名手と呼ばれているようで、『ZOO』の映画
化も短編集だったものだ。本作は長編だが、原作には『きみ
にしか…』と共に『失はれる物語』という作品名も挙がって
おり、複数の短編を組み合わせて脚色が行われたようだ。
その脚色は、昨年『スキトモ』という作品を紹介している金
杉弘子が担当しているが、プレス資料では乙一本人が、「原
作でもこういうふうにすればよかったと、くやしい思いをし
たところがたくさんあった」と記しており、かなり独自な脚
本になっているようだ。
主人公は、校内で携帯電話を持っていないのは自分だけだろ
うと思っている女子高校生。でも気にはしていない。何故な
ら対人関係が上手く出来ず、携帯で話すような相手もいない
からだ。
そんな彼女が、ある日、公園で携帯電話を拾う。それは実は
通話などできない玩具の携帯だったのだが…その携帯に男性
から電話が掛かってくる。彼女は最初、自分の頭の中で作り
上げた空想だと思うが、ある方法でそれが実在の男性だと証
明される。
一方、その男性は、リサイクルショップで壊れた器具の修理
をしている青年だったが、実は彼は聾だった。そんな彼が、
頭の中の携帯では他人の声を聞き、普通にと話すことができ
る。こうして、普段は人と話すことのできない2人の交流が
始まる。
ここに、実は2人の時間に時差があるということや、第2の
女性との通話などが絡んで、物語は進んで行く。そしてクラ
イマックスでは、その時差の問題が見事に使いこなされてい
るものだ。特に最後の畳み掛けるような展開は素晴らしかっ
た。
それに、何しろ主人公たちが頭が良い。いろいろな状況を即
座に判断して次々に対処して行く。その展開が心地良くさえ
感じられたものだ。
時間を越えた男女の交流を描いた物語は、SF映画ファンの
目から見ると『イルマーレ』から想を得たのではないかと思
われる部分もあるが、そこからは違えられている部分が見事
に機能して、素敵な物語に仕上げられている。

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03月10日(土)
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