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On the Production
by 井口健二
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■第130回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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今回は、最初に記者会見の報告から。
アメリカでは2月16日に封切られ、プレジデンツ・デイ週
末の4日間興行で5150万ドルという、同期間では新記録とな
る大ヒットの余韻も覚めない2月21日に、『ゴースト・ライ
ダー』の主演ニコラス・ケイジと監督マーク・スティーヴン
・ジョンスンの来日記者会見が行われた。
会見ではいろいろな話題が出されたが、中で僕が注目した
のは、コミックスコレクターとして知られるケイジが初めて
スーパーヒーローに挑戦した経緯についての質問。
これに対してケイジは、「以前にティム・バートンと組ん
でSupermanをやろうとした。その時は、ヒーロー像を根底か
らひっくり返してやろうと考えたのだが、いろいろな事情で
実現できなかった。でもお陰で、今こうしてGhost Riderを
やれたのだから、あの時やらなくて良かったと考えている。
1度コミックスヒーローを演じたら、もう2度とコミックス
ヒーローを演じることはない」という回答だった。
ケイジがバートン監督でSupermanを演じるという計画は、
1998年頃のことだったと思うが、当時1億4000万ドルの製作
費が計上され、製作費の高騰も計画断念の一因とされていた
ものだ。でも今回の発言では、内容的にも問題があったよう
で、その辺は納得できた。
またケイジは、Ghost Riderについては、スピリチュアル
な面に魅かれると語っていて、この辺は第124回で紹介した
ヴァージン・コミックスとの計画にも通じる感じがした。た
だし、「2度とコミックスヒーローを演じることはない」と
いう発言では、ヴァージンとの計画はどうするのだろうとい
う感じだが、まあ、その辺はまたその時がきたら聞いてみる
ことにしよう。
一方、本作の大ヒットでは当然続編の噂も挙がってきてい
るものだが、それは別のコミックスヒーローを演じるわけで
はないから問題はなさそうだ。因にケイジは、別の会見では
「奴との冒険には、まだたくさん残された部分がある」とも
語っていて、これは続編の用意があると解釈されているよう
だ。因にこの別の会見では、ヒロイン役のエヴァ・メンデス
も続編に乗り気だったと伝えられている。
それから来日会見では日本のコミックスについて聞かれ、
「子供の頃に『鉄腕アトム』が好きだった。アトムを作った
博士の役をやりたかった」とも語っていた。この発言は、実
写版の製作を進めている人たちにも聞かせたいところだ。
なお映画では、ライダーへの変身シーンに注目して欲しい
とのこと。このシーンは『狼男』の変身を参考にして、痛み
とエクスタシーを織りまぜた表現を目指したそうだ。また、
映画に登場するバイクは専門家のアドヴァイスを受けながら
自作したもので、全長12フィート、実際に時速90マイルで走
行できたが、コーナリング性能が悪く、交差点は曲がれない
ものだそうだ。
* *
続いては、アカデミー賞の報告で、結果はすでにご承知の
ことと思うが、前々回取り上げた中で、視覚効果賞は予想し
た通り“Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest”
となったが、他の部門の全滅はちょっと意外な感じだった。
一方、メイクアップ賞はアメリカでの下馬評が断然強かった
“Pan's Labyrinth”が受賞。この作品に関しては、他にも
美術賞と撮影賞にも輝いて、6候補中3個の受賞は予想以上
の結果を残したと言えそうだ。それから長編アニメーション
賞はワーナー配給の“Happy Feet”で、初めてディズニー、
ドリームワークス以外からの受賞となった。それも、ディズ
ニー/ピクサーの“Cars”が対抗馬にいての受賞は見事と言
える。
その他、全体的には非常にオーソドックスな受賞作が並ん
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03月01日(木)
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