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On the Production
by 井口健二
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■ボビ−、恋愛睡眠のすすめ、恋しくて、鉄人28号、かちこみ!、モンゴリアン・ピンポン、ポイント45、忍者
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ボビ−』“Bobby”
1968年6月5日。ロサンゼルスにあるアンバサダーホテルの
1日を描いた作品。この日の深夜を少し回った頃、カリフォ
ルニア州での予備選挙に勝利したロバート・F・ケネディ上
院議員が、このホテルの厨房で暗殺される。
この年の秋の大統領選でニクソンが圧勝し、アメリカが退廃
に向かって行く幕開けの歴史的な1日を描いた作品。しかし
映画は、政治的な背景や歴史的意義などはほとんど語らず、
当時の市民の生活を克明に再現したものだ。
そこでは、黒人の地位は向上したがまだ差別されているメキ
シコ人の問題や、蔓延し始めたLSD、高齢者の処遇問題、
空疎になり始めた夫婦間の問題などが描かれて行く。
もちろんテト攻勢の始まったヴェトナム戦争や、兵役逃れの
話なども出てくるが、大半は当時のヒット曲に載せて当時の
市民生活が描かれているものだ。
脚本、監督を手掛けたエミリオ・エステヴェスは、6歳の時
に深夜テレビで暗殺を知り、父親のマーティン・シーンを起
こしに行った記憶があるそうだ。そしてケネディ家の支援者
だった父親と共にホテルの現場も訪れたという。
そんなエステヴェスが、自らの宿命として作り上げたとも言
える作品。従って、映画ではロバート・F・ケネディの演説
や発言が、当時のニュースフィルムなどから多数引用され、
ある意味ケネディの政治姿勢や思想などを再確認する作品に
もなっている。
しかし、その後の民主党内の混乱がニクソン共和党大統領を
生んでしまうのだから、政治的背景などはあまり語りたくな
いという心情はあったのだろう。そのため、市井の人々の暮
らしぶりをノスタルジックに再現しているかも知れないが、
映画としては多少中途半端になったことは否めない。
でも、それを、アンソニー・ホプキンス(製作総指揮も務め
ている)、シャロン・ストーン、デミ・モーア、イライジャ
・ウッド、リンジー・ローハン、ヘレン・ハント、ウィリア
ム・H・メイシー、クリスチャン・スレーター、ヘザー・グ
ラハム、アシュトン・カッチャー、ローレンス・フィッシュ
バーン、フレディ・ロドリゲス、マーティン・シーン、ハリ
ー・ベラフォンテらの集団劇で描き出すのだから、それは見
ものとも言えるものだ。
当時サイケデリックと呼ばれたLSD感覚の映像再現など、
当時を知るものとしてはなかなか面白いシーンもあったし、
懐メロ満載の音楽も楽しめた。それでよしとしたい作品だ。
ただし、題名の「ボビー」というのは、ロバート ボブ ボ
ビーの愛称なのだから、Fの上にルビとして打つのは誤解を
招くのでやめてほしいものだ。因にこのFは、兄はフィッツ
ジェラルド、弟はフランシスのイニシャルのようだ。
『恋愛睡眠のすすめ』“La Science das rêves”
『ヒューマンネイチュア』、『エターナル・サンシャイン』
のミシェル・ゴンドリー監督による第3作。前の2作は共に
チャーリー・カウフマン脚本によるものだったが、本作では
初めて自身の脚本を映画化している。
前2作もかなり捻ったというか、ファンタスティックな展開
が楽しめる作品だったが、本作も夢想と現実が交錯するとい
うもので、さらにファンタスティックというか、面白い展開
になっている。
ガエル・ガルシア=ベルナル扮する主人公は、メキシコで成
長したが、一緒に暮らしていた父親が亡くなったため、母親
の暮らすパリに引っ越してくる。そして母親が大家をしてい
るアパートに住み、母親が紹介してくれたデザイナーの仕事
に就くのだが、その仕事はデザイナーとは名ばかりの写植の
貼り付け係で腐りきる。
一方、アパートの隣の部屋にシャルロット・ゲインズブール
扮する女性が引っ越してきて、主人公は彼女を気に入るが、
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02月10日(土)
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