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On the Production
by 井口健二
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■第128回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 今回は、恒例のアカデミー賞候補の報告から。
 すでに報道されているが、今年の作品賞には、“Bable”
“The Departed”“Letters from Iwo Jima”“Little Miss
Sunshine”“The Queen”の5本が候補となっている。『硫
黄島からの手紙』の選出には正直嬉しい驚きを感じたが、す
でに試写等で観せてもらった中では、個人的な好みとしては
『バベル』が一番感動もしたし、ゴールデングローブに続い
ての受賞を期待したいものだ。
 この他は、SF/ファンタシー系の作品を中心に見て行く
と、オリジナル脚本賞にギレルモ・デル=トロ監督のダーク
ファンタシー“Pan's Labyrinth”(同作は他に、美術、外
国語映画、撮影、作曲、メイクアップ部門の候補にもなって
いる)。脚色賞にアルフォンソ・キュアロン監督による終末
物の“Children of Men”(他に、撮影、編集賞)がそれそ
れ選ばれている。
 また、候補作3本で定席の視覚効果賞は“Pirates of the
Caribbean: Dead Man's Chest”(他に、美術、音響、音響
編集賞)と、“Poseidon”“Superman Returns”。同じくメ
イクアップ賞は“Pan's Labyrinth”の他、“Apocalypto”
(他に、音響、音響編集賞)“Click”となっている。
 これらの中では、“Pan's Labyrinth”が頑張っている感
じだが、日本では『トゥモローワールド』の題名で先行公開
された“Children of Men”が、予想以上の健闘をしている
ことにも驚かされた。また、“Apocalypto”はメル・ギブス
ン監督の舌禍にもめげずという感じだが、最終的な判断はど
うなるだろうか。
 因に、メイクアップ賞は、前回予備候補の紹介で疑問を呈
した2作品は落選したものだが、“Click”(邦題:もしも
昨日が選べたら)の選出には納得というところだ。それから
『POTC:DMC』の視覚効果賞はかなり固そうだが、他
の部門は、昨年度ナンバー1ヒットの名に掛けて全て蹴散ら
せるかどうか、それぞれの対決が面白そうだ。
 一方、長編アニメーション部門は“Cars”(他に、主題歌
賞候補にもなっている)“Happy Feet”“Monster House”
の3本となった。前回の紹介では5本選ばれると書いたが、
実はその後でリュック・ベッソン監督の“Arthur and the
Invisibles”が、映画アカデミーの規定するアニメーション
シーンが75%以上という条件に合わないことが判明、それが
除かれた結果、公開本数が15本となり、2002年以来の5本候
補は今年も叶わなかったものだ。
 受賞式は現地時間の2月25日。今年はどんな結果が待って
いるのだろうか。
        *         *
 以下は製作ニュースをお届けしよう。
 まずは待望のニュースで、ディズニーがエドガー・ライス
・バローズ原作のSFファンタシーシリーズ“John Carter
of Mars”のシリーズ映画化を目指して、映画化権の交渉を
バローズの遺族と行っていることが明らかにされた。
 この原作の映画化に関しては、2002年第14回以来、パラマ
ウントで進められていた計画を度々報告してきたものだが、
2005年の第97回で紹介したジョン・ファヴロウ監督の起用が
発表されて以後の情報が跡絶えていた。そしてついにパラマ
ウントが保持していた映画化権が期限切れになったようで、
その権利の獲得にディズニーが動いているというものだ。
 この原作シリーズとディズニーの関係については第14回に
も書いているように長い歴史があったものだが、パラマウン
トが権利を保持していた5年間は、ディズニーにとっては何
だったのだろうか…。それはともかく、権利が確定したら、
第126回にも書いたように、2012年の原作発表100周年を目指
して、ぜひとも早急な製作を進めてもらいたいものだ。

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02月01日(木)
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