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On the Production
by 井口健二
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■龍が如く、許されざるもの、ブラッド・ダイヤモンド、ケータイ刑事2、あかね空、今宵フィッツジェラルド劇場で
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『龍が如く〜劇場版』
2005年に発売された同名のPS2用ゲームソフトにインスパ
イアされたアクション映画。
ミレニアムタワーという名の高層ビルがど真中に聳え立つ、
新宿歌舞伎町を思わせる神室町。その不夜城を舞台に、10年
の刑期を終えて出所したヤクザと母親を探す少女。銀行立て
籠り事件に、その銀行から消えたヤクザ資金。謎の韓国人に
コンビニ強盗を続ける若いカップル、ヤクザの抗争、永田町
の黒幕などが絡み合う熱帯夜のワンナイトストーリー。
監督の三池崇史は、ヴァイオレンスアクションからスプラッ
ターホラーまで、娯楽映画なら何でもこなす職人と言って良
いと思うが、何しろ多作。多分脚本があればちゃかちゃかと
撮ってしまうのだろうが、正直に言って当たり外れは大きい
と感じる。
でも、当ったときは本当に凄いものが出てくる訳で、そして
本作は、多分当りの方だ。
脚本は、『交渉人・真下正義』の十川誠志。今回はこの脚本
がしっかり出来ていたこともあるのかもしれないが、かなり
強烈な格闘技アクションから、CGIを使ったヘリコプター
アクションまで、盛り沢山に見事な展開を見せてくれる。
でもまあ、それを的確に映像化するのも監督の腕の見せ所な
訳で、現在の日本の監督でそれが確実に出来るのも、三池監
督が第1人者であることは間違いないところだ。
出演は、北村一輝、岸谷五朗、塩谷瞬、サエコ、夏緒。それ
に加藤晴彦、高岡早紀、哀川翔、コン・ユ。さらに松重豊、
田口トモロウ、遠藤憲一、荒川良々、真木蔵人、塩見三省。
何と言うか、個性派という程でもないけれど、最近見ている
日本映画では変に印象の強いメムバーが揃っているのも面白
かった。
また、歌舞伎町を思わせる繁華街を、金属バットなどを持っ
た強面の男の集団が走り回るシーンには、よく撮らせたとい
う感じもしたし、久し振りのヤクザ映画の雰囲気で、日本映
画の伝統的な一面を見ているような懐かしさも感じられた。
程よく戯画化されたヴァイオレンスも、白けることもなく楽
しめたし、結末も悪い感じはしないものだった。なおチラシ
には、「SEGA発、映像プロジェクト始動」とあったが、
これは今後も続くのだろうか?

『許されざるもの』(韓国映画)
2005年の釜山国際映画祭で、同映画祭の最高賞であるPSB
観客賞を始め、4冠に輝いたとされる韓国映画。26カ月の兵
役義務のある韓国で、古参兵による新兵苛めの果てに起きる
事件を描く。
幸い日本には兵役がない訳だが、古参兵による新兵苛めとい
うのは、昔あった兵隊ものの映画にはよく描かれていたもの
だ。僕は辛うじてそういう映画を見知っている世代だが、兵
役に現実味のない現代の日本映画では、全く廃れてしまった
ジャンルと言える。
一方、韓国では現実にこのようなことは起きている訳だが、
プレス資料に添えられた監督の言葉によると、このような苛
めは体験しても、それを早く忘れてしまおうとするのが風潮
なのだそうだ。つまり、他人に伝えてはいけないタブーとい
うことなのだろう。
それを敢えて映画にし、しかも映画祭で賛辞を持って迎えら
れたというのは、正しくこの映画が真実を描いていると評価
されたからに他ならない。
物語は、大学にいたために比較的年齢が行ってから兵役に就
いた男スンヨンと、彼の幼馴染みの古参兵テジョンとが中心
となる。学歴のあるスンヨンは、当然古参兵に反抗的だが、
それをテジョンが守る構図が出来る。
そしてスンヨンは、自分が古参になったら改革すると言い続
けるのだが。テジョンが除隊し、スンヨンに新兵の部下が出
来たとき…
監督は、自ら執筆した脚本を基に、映画振興委員会からの助
成金と、短編映画を映画祭に出品して得た賞金、さらに自己

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01月20日(土)
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