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On the Production
by 井口健二
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■第126回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
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 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い
します。と言うところで、新年最初はこの話題から。
 今年5月に第3弾の“The Pirates of the Caribbean: At
Worlds End”の公開を控えるジョニー・デップ主宰の製作
プロダクション=インフィニタム・ニヒルが、ワーナー傘下
の製作者グラハム・キングが主宰するイニシャル・エンター
テインメントと共同で、新たに3作品の映画化権を獲得した
ことを発表した。
 その1本目は、ジョゼフ・ガンジェミという作家の原作で
“Inamorata”。1920年代のハーヴァード大学を舞台に、心
霊現象を起こすとされる女性と、その現象に疑いを持ちなが
らも、その美しさに魅かれて行く研究者を主人公にした物語
ということだ。なおこの計画に関しては、すでに、1994年に
映画化された“Romeo Is Bleeding”(蜘蛛女=ゲイリー・
オールドマン、レナ・オリン共演)などを手掛けたピーター
・メダックに監督が要請されているということで、監督の作
品から考えると、かなり強烈な物語が展開されそうだ。
 2本目は、“Affected Provincial's Companion”と題さ
れているもので、ブロウラヴ・スウェルズ・ウィムズィ卿と
いう人が、不透明な現代における紳士の価値について、エッ
セイや詩や図表を交えて表わした論文とのこと。この原作本
がどのような意図のものかは不明だが、アメリカ人は結構こ
の手のものをパロディで描くことが多いから、楽しい作品に
なることを期待したい。
 そして3本目は、ジェームズ・ミークの原作による“The
People's Act of Love”で、これについては昨年第103回で
一度紹介しているが、ロシア革命後の1919年を背景に、シベ
リア流刑地を脱出したキリスト教神父と現地の人々との関係
を描いた物語というもの。因にこの作品については、以前の
紹介では映画化権を交渉中とのことだったが、その交渉が成
立したようだ。
 なお、これらの3作品は、全部がデップの主演作とされて
いるものではないが、いずれも彼の主演が期待されていると
いうことだ。つまり、デップのスケジュール次第ということ
なのだろう。
 一方、第103回でタイトルだけ紹介しているニック・ホー
ンビー原作の“A Long Way Down”については、同じくホー
ンビーの原作で、2000年公開の『ハイ・フィディリティ』を
担当したD・V・デヴィンセンティスが脚色を契約したこと
も発表されている。
 この作品は、大晦日の夜、それぞれが絶望の淵に追い込ま
れていた4人の男女が巡り合い、紛い物ではあるものの家族
という形態を作り上げて行くまでを描くという内容で、デヴ
ィンセンティスは、「ニックの作品を脚色するのは、彼が描
いたいろいろなものを克明に感じられるので、いつも楽しい
ものだ」と抱負を語っている。
 因に、インフィニタムとイニシャルは、映画製作に関して
3年間の契約を結んでいるものだが、すでにフセイン政権下
のイラクから2003年に脱出した原爆科学者マハディ・オベイ
ディ博士の自伝に基づく“Bomb in My Garden”と、第113回
などで紹介した“Shantaram”の計画も進めており、全部が
実現するのには、かなりの時間が掛かりそうだ。
        *         *
 次もワーナーの話題で、同社と製作者のジェリー・ウェイ
ントローブが、“Tarzan”の新たな映画化を計画し、その監
督として、“Pan's Labyrinth”が12月29日に全米公開され
たばかりのギレルモ・デル=トロの起用が発表された。
 エドガー・ライス・バローズが1912年に第1巻を発表した
原作小説は、1918年にエルモ・リンカーン主演による映画化
(無声)が行われて以来、実写映画だけでなく、長編アニメ

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01月01日(月)
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