ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ルワンダの涙、シルバー假面、妖怪奇談、素敵な夜ボクにください、僕は妹に恋をする、ルナハイツ2、パパにさよならできるまで
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ルワンダの涙』“Shooting Dogs”
1994年4月5日から8日までのルワンダの中心都市キガリの
公立技術学校(ETO)を舞台に、その場所で起きたフツ族
によるツチ族虐殺事件の顛末を描いた作品。
同じルワンダ内戦を描いた作品では、先に『ホテル・ルワン
ダ』が公開されているが、結果として多くの救いの手が差し
伸べられた外国資本のホテルと違い、英国人神父の個人によ
って運営されていた学校は、最初の内こそ国連軍の警備下に
置かれるが、やがて国連軍が去り、そこに集まっていたツチ
族の人々はなす術もなくフツ族の標的になって行く。
どちらも実話に基づく作品であり、その物語は比べるべきも
のではないが、ある意味ハリウッド的にドラマティックに描
かれた『ホテル…』に比べて、本作は余りに悲惨で、これこ
そが現実だったのだと思わざるを得ないものだ。
実際、映画には取り憑かれたようにツチ族を惨殺するフツ族
の姿が容赦なく描かれる。そこにはBBCのニュースクルー
などもいたのだが、彼らはそれを目の端で見てはいても、そ
れ以上には何もすることが出来なかった。それが現実だった
のだ。
本作の原作はそのBBCの記者が書いているが、フツ族はや
がて外国人にも銃口を向け始め、記者たちも退去を余儀なく
される。しかし、それはツチ族を見捨てたことであり、記者
の胸にはその痛みが今も残るという。そんな思いで描かれた
作品ということだ。
監督は『ロブ・ロイ』などのマイクル・ケイトン=ジョーン
ズ。
出演は、神父役に『エレファントマン』のジョン・ハートの
他、『キング・アーサー』のヒュー・ダンシー、『スターリ
ングラード』のドミニク・ホロウィッツ、『フォー・ウェデ
ィング』のニコラ・ウォーカー。そして重要な少女の役を、
『トゥモロー・ワールド』のクレア=ホープ・アシティが演
じている。
なお、撮影はほとんどのシーンがルワンダの現地で行われ、
撮影のスタッフやエキストラには、現地人で虐殺を辛くも免
れた人々が多く起用されている。その人たちのことはエンデ
ィングで紹介されるが、親兄弟を虐殺され、まさに九死に一
生という人もいたようだ。
『ホテル・ルワンダ』を見て何かを感じた人は、必ず見なけ
ればいけない作品と言える。
『シルバー假面』
1971年に第1話を、佐々木守脚本、実相寺昭雄監督でスター
トした特撮テレビシリーズの映画化。と言ってもオリジナル
の題名は『仮面』で、それが本作で『假面』なのは、本作の
時代背景が大正となっているためだ。
時は大正9年、シベリア出兵やスペイン風邪、米騒動、相次
ぐ労働争議などで世情騒然とする帝都東京で、奇怪な連続殺
人事件が起こる。それは美女ばかりが血液を抜かれた遺体で
発見されるというもの。エリート軍人の本郷義昭大尉は事件
の調査を命じられるが…
これに、探偵作家志望の平井太郎(後の江戸川乱歩)や、森
鴎外とドイツ人女性エリスとの間に生まれらという女性ザビ
ーネが加わり、敵には蜘蛛型宇宙人やカリガリ博士、鋼鉄の
女ロボット・マリアなどが登場して、事件は帝都を揺るがす
大事件に発展する。
本作の企画原案は佐々木と実相寺。ところが佐々木氏が今年
2月に急逝したため、その後を2人の若手脚本家が引き継い
で、実相寺の監修のもと脚本を執筆。さらに、実相寺と2人
の監督による3部構成で映画化されている。しかも、試写の
当日に実相寺監督の訃報が伝えれるという巡り合わせになっ
てしまった。
実相寺監督は『帝都物語』も監督しているが、こんなレトロ
な雰囲気が好きだったのかも知れない。浅草の芝居小屋や、
巨大飛行船など、そんな雰囲気が楽しめれば良い、というと
ころだろう。
シルバー假面はニーベルンゲンの指輪の化身とされ、さらに
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12月10日(日)
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