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On the Production
by 井口健二
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■ソウ3、DEATH NOTE(後編)、マウス・タウン、悪夢探偵
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『ソウ3』“Saw III”
ソリッド・シチュエーション・スリラーという新たなジャン
ルを作り出したとまで言われた『ソウ』シリーズの第3弾。
第1作、第2作を手掛けたリン・ワネルの脚本を、第2作の
原案監督を務めたダーレン・リン・バウズマンの演出で映画
化した。
第1作では、大きなバスルームという限定された空間に閉じ
込められた2人の男のサヴァイバル劇が演じられ、第2作で
は、1軒の家に閉じ込められた8人の男女のサヴァイバル劇
が演じられた。
その第1作では、ジグソウと名告る仮面の男が犯人とされた
が、第2作ではそこに協力者のいることも明らかにされた。
そして第3作では、その協力者と共に新たな殺人ゲームが展
開されるものだが…そのターゲットは2人で、その点では原
点に戻った感じのものだ。
実際、第2作は、第1作には関っていないバウズマンのオリ
ジナル脚本を、ワネルが続編として書き直したもので、その
意味では傍系作品。それを今回はワネルの脚本で原点に戻し
た訳で、流れとしてはこれが正しいものということになる。
そして今回のターゲットは、不倫に走って家を顧みなくなっ
ている優秀な女性外科医と、3年前に息子を交通事故で失っ
たが、その加害者が微罪とされたことから復讐の念に凝り固
まった男性。その2人にジグソウは、あることを教えようと
するのだが…
第1作も第2作も、ターゲットとされた人々は、それぞれ心
に闇を持っているという設定で、その心の闇が事件に巻き込
まれる理由とされた。しかし、前2作ではその部分はあまり
明確にされなかった。今回は、その部分のドラマから周到に
描かれて行く。
正直に言って、第1作は学生出身のクリエーターたちによる
粗削りな作品という感じだったが、第2作では他人の脚本を
見事に続編に焼き直した手腕に驚き、今回第3作でその見事
な脚本には、脚本家ワネルが本物だったという想いがした。
それに監督のバウズマンも、第2作で新人だったとは思えな
いほどの見事な演出を繰り広げる。試写後の会見でバウズマ
ンは、現場は映画学校のようだったと発言していたが、撮影
監督などにはベテランを起用したスタッフ体制が、功奏した
というところのようだ。
それにしても、見事に進化している。たった3作目、しかも
3年間で新たな映画作家の誕生を目の当りにした感じだ。そ
の意味でも楽しめるシリーズだった。
ただし、繰り返される惨劇の映像は、これも前2作以上に過
激に進化しているので、体調不良の人にはお勧めできない。
実際にアメリカではレーティングでかなり揉めたようだが、
日本でも4回の映倫試写の末、ようやく4カ所の画面を少し
暗くして、血糊の赤色を弱くすることで、当初のR−18指定
からR−15に変更してもらえたそうだ。
従って、日本での上映はノーカットで行われる。会見の席で
バウズマンは、日本の検閲がこの程度に納めてくれたことに
感謝したいと語っていた。
なお、会見での発言によると、シリーズは今後も続くことに
なるようだ。

『DEATH NOTE The Last Name』
人気コミックス原作の映画化で、初夏に前編が公開されて話
題となった作品の後編。
名前を書くだけでその相手に思い通りの死をもたらす死神の
ノートを巡って、法で罰し切れない犯罪者に死を送り届ける
キラと名告る人物と、そのキラ捜索のために国際刑事警察機
構から送り込まれた天才犯罪分析官Lとの攻防を描く。
そして今回は、第2のノートの存在と、キラが拒否した死神
の目をも持つその新たな所有者を巡っての意外な展開も描か
れる。果たして、捜査チームに乗り込んだキラと、Lとの対
決の結末は…
前作は、正義感で始めたはずのキラが徐々に自分の力に酔っ

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10月31日(火)
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