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On the Production
by 井口健二
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■第121回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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最初はちょっとショッキングなこの話題から。
“Star Wars Saga”を完結させたジョージ・ルーカスが、
「もはや大作映画を作る意志はない」とする爆弾発言をした
ことが報じられた。
この発言は、ルーカスが母校のUSC映画学校に総額1億
7500万ドルの寄付を行ったセレモニー(旧USC Film School
をSchool of Cinematic Arts at USCに変更することも発表
された)後のインタビューで飛び出したもので、「仮に2億
ドルの資金があったら、60本の2時間ドラマを作る。そして
それを有料テレビやダウンロードで売る。大作映画は製作費
が掛かり過ぎて、リスクが大きい」と答えたとのことだ。
またルーカスは、「ブランドを創ろうとするなら、サイト
を持って、そこに訪れる人々を満足させる作品で満たさなけ
ればならない。それには量が重要だ。もしそんなに創れない
と言うなら、あなたが本当に幸運で、やるべきことが本当に
判っていればそれでも可能かも知れない。しかしそれには、
多大な失敗も有り得るということだ」とも語ったようだ。
確かにここ数年、ハリウッドの大作路線は、作品のぶつけ
合いで全作品が成功する訳には行かなくなってきているが、
それにしても『SW』の大成功で富と名声を得た人の発言と
しては寂しい限りだ。
ただし、“Indiana Jones 4”については、「15年も関わ
ってきたから、これは完成させる。スティーヴン(スピルバ
ーグ)と僕はずっと一緒に作業を続けきて、皆がハッピーに
なれる何かを作り上げたいと思っている。それは多分近い内
に何かの形で発表できると思う」とのことだ。
またルーカスフィルムでは、第2次大戦中の黒人航空兵の
姿を描いた“Red Tails”という計画も進めているそうで、
この2作と現在テレビ向けに進められている“Star Wars”
の実写シリーズについては、ルーカスの製作総指揮で作り上
げるとしている。さらに、現在はテレビ向けの製作を行って
いるルーカス・アニメーションでは、長編を製作する計画も
あるようだ。
しかし、ルーカスフィルムが製作する2作品と、テレビ版
の“Star Wars”シリーズが完了したら本人は半ば引退した
いとしており、引退後には、「自然界の神秘を描いた小さい
映画」を監督したいという計画も語っていたそうだ。
因に、上記のセレモニーには、スピルバーグとロバート・
ゼメキスも出席して、祝砲の発射やUSCマーチングバンド
によるファンファーレの演奏など、同校の歴史の中でも最大
の感謝の意思表示が行われたとのことだ。
* *
お次は、前回もMGMの動向を紹介したが、そのMGMと
は1973年以来行動を共にしてきたユナイテッド・アーチスツ
(UA)の名前を復活させる動きが出てきた。
UAは、元々は1919年にメアリー・ピックフォード、ダグ
ラス・フェアバンクス、D・W・グリフィス、それにチャー
リー・チャップリンの4人が当時のハリウッド体制に対抗し
て、芸術家の権利を守るために設立した映画会社だった。こ
のため多くの映画作家たちが、UAの名の許に映画配給を行
うなど、商業主義に走らない経営はアメリカ映画の良心のよ
うにも見られていたものだ。
ところが1973年、当時同社の経営権を持っていた親会社の
トランスアメリカから、ハリウッドの老舗MGMが製作した
作品の配給を手掛けることが発表されたのを機に、当時のU
Aの経営陣だったアーサー・クリムとロバート・ベンジャミ
ンが独立してオライオンを設立。これにより求心力を失った
UAは、さらに1980年の『天国の門』の失敗による損失を回
復できず、1981年に当時のMGMのオーナーだったカーク・
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10月15日(日)
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