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On the Production
by 井口健二
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■第120回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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まずは前回、今年の夏の主演作が大記録を達成したことを
報告したジョニー・デップの新情報で、デップ主宰の製作プ
ロダクション=インフィニタム・ニヒルが、ダーク・ホース
コミックスから出版されているグラフィックノヴェル“Rex
Mundi”の映画化権を獲得し、自らの製作主演で映画化を進
めることを発表した。
原作は、宗教改革が行われず、宗教裁判所が権限を持ち続
けている1933年のヨーロッパを背景にしたもので、その世界
ではカソリック教会がヨーロッパ各国の後ろ楯となって隆盛
を極め、他の国々はすべて植民地となっている。さらにその
世界では、魔法も現実に存在しているというものだ。
そして、その世界でデップが演じる主人公は、ある司祭の
死を巡る捜査を進める病理学者。その謎を解き明かす内、彼
は聖杯の秘密に近づいて行くという物語。原作者はアーヴィ
ド・ネルスンとエリック・ジョンスン。実は作者のネルスン
が今年の初め頃に行われたインタヴューで、もし自作が映画
化されるならジョニー・デップ主演が良いと発言し、それを
聞きつけたデップ本人か彼のスタッフが原作本を入手。デッ
プ自身が原作を読んで映画化権の獲得に動いたようだ。
殺人事件とカソリック教会の秘密という展開では、『ダ・
ヴィンチ・コード』とも比較される作品のようだが、原作は
ベストセラー小説より3年も前に発表されている。また物語
の展開には、オカルト的な側面もあるとされており、大体、
上記の舞台設定からして、ベストセラー小説とは全く異なる
ことは明白だろう。
なお今回の発表では、脚色を『ファイト・クラブ』のジム
・ユルスに依頼したことも報告されており、脚本家からは、
「ちょっと暗いタッチの『レイダース/失われた聖櫃』のよ
うな感じにしたい」というコメントも寄せられていた。従っ
て、製作準備はすでにスタートしているもので、撮影は、早
ければ来年の後半にも期待されているようだ。
また原作には、今回報告された聖杯を巡る物語の他にも、
キリスト自身に関わるものなど、複数の物語があるようで、
シリーズ化も期待できそうだ。
* *
ソニーに買収されて以来、007を除いては大きな作品を
発表していなかったハリウッドの老舗MGMが、買収後の手
続きも完了していよいよ映画製作に本格復帰となりそうだ。
そしてその手始めとして、ここ数年以内に公開する製作費
1.5〜2億ドルを投入するいわゆるテントポール作品の計画
を発表。その中には“Terminator 4”や“The Thomas Crown
Affair 2”と共に、“The Hobbit”も含まれているという
ことだ。
ただし“The Lord of the Rings”3部作の前日譚となる
“The Hobbit”の映画化に関しては、実はニューラインから
も、ピーター・ジャクソンの総指揮の許、来年に撮影すると
いう情報が流されており、元々この計画では、1970年代に製
作されたアニメーション作品の権利を継承するMGMの立場
をどうするかが問題になっていたものだが、果たして今回の
両社の情報が共同製作を意味するのか、独立に2本作ること
になるのか、現時点では明瞭ではないようだ。
因に“The Lord of the Rings”のアニメーションでは、
1978年のラルフ・バクシ監督作品が有名だが、実はその前年
の1977年には、アーサー・ランキン、ジュール・バス製作監
督による“The Hobbit”がアメリカNBCの委託で製作され
ている。また1980年には、同じくランキン=バスの製作で、
東映動画が動画製作を担当した“The Return of the King..
A Story of the Hobbit”も、アメリカABCの委託で製作
されているものだ。この内のどの部分がMGMの権利になっ
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10月01日(日)
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