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On the Production
by 井口健二
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■ヘンダーソン夫人の贈り物、ハヴァナイスデー、家門の危機、出口のない海、武士の一分、敬愛なるベートーヴェン、ダンジョン&ドラゴン2
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『ヘンダーソン夫人の贈り物』“Mrs.Henderson Presents”
第2次大戦中のナチスドイツによる空襲の下でも、興行を止
めなかったというロンドン・ウエストエンドに在ったウィン
ドミル劇場の実話に基づく物語。
70歳で資産家の夫に先立たれたヘンダーソン夫人は、その遺
産の使い道としてロンドン・ソーホー街の劇場を買い取る。
そして、その出し物を取り仕切らせるためにオランダ出身の
ヴィヴィアン・ヴァンダムという支配人を雇い入れる。
その劇場では、最初はミュージカルやボードヴィルを織りま
ぜたショウをノンストップで上演するという興行を行って評
判を呼ぶが、それはやがて別の劇場にも真似され収入が落ち
込んでくる。そこでヘンダースン夫人が思いついたのは…
戦前のイギリスでは実演のヌードショウは禁止されていたよ
うだ。しかし、そこは政界にも顔の利く夫人が手を回して、
女性が動かないことを条件にショウの上演を認めさせてしま
う。こうして劇場はさらに評判を呼ぶことになるが…
女性が動かないヌードショウは、額縁ショウという名で戦後
の日本でも一時期興行されたことがあるものだが、ルーツは
戦前のベルリンに在ったようだ。従ってこのショウ自体は特
別なものではないが、これがロンドン空襲のさなかも興行を
止めなかったということが物語のポイントになる。
実際、劇場は地下にあったもので、空襲にもびくともしなか
ったということだが、出演者やスタッフはその劇場に泊まり
込みで興行を続けたというものだ。
映画では、このヌードショウも含めて、当時の歌や踊りのシ
ョウの様子も再現されるし、その興行に至るバックステージ
も紹介されて、その辺の興味も満足させてくれる。
特に、ゲイをカミングアウトしているイギリスの人気歌手ウ
ィル・ヤングが、映画初出演で歌い踊る「グディ・グディ」
などの懐メロに乗せたショウの再現は、それだけでも存分に
楽しめるものだった。
物語は、甘いものばかりでなく、夫人が後悔の念に苛まれる
ようなエピソードも起きてくるが、それでも前に進んで行く
人々の姿を欧い上げたものだ。主演は、ジュディ・ディンチ
とボブ・ホスキンズ。2人の丁々発止のやりとりは、ユダヤ
人ネタのジョークも含め見事だった。ホスキンズは本映画の
製作総指揮も務めている。
なお原題にあるPresentsというのは、昔は「提供」と訳して
いたものだが、今で言う製作総指揮のような感じの肩書で、
映画の中では、‘Mrs.Henderson Presents and Vivian Van
Damm Produce’のように使われていた。
因に、映画の中でも「ヘンダーソン夫人の贈り物」というせ
りふは出てくるが、そこでの原語はgiftが使われていたもの
だ。従って、せりふにも出てくるから邦題はそれでも良いの
だが、原題の意味も知っておいて欲しい言葉だ。

『ハヴァ、ナイスデー』
『夜のピクニック』の長澤雅彦ら、総勢18人の監督が作り上
げた短編オムニバス。公開は9本ずつ2プログラムに分けて
レイトショウ公開されるようだが、試写会はその内の8本が
セレクトされて上映された。
今回の作品は「短編.jp」というインターネットのサイトか
ら生まれたということで、もしかしたら素人の原作を映画化
したということかも知れない。ただし、映画化に当っては、
24時間以内の物語という縛りがあったようで、その中で監督
の腕が発揮されている。
短編といっても、今回の作品はそれぞれが10分前後で、ここ
までくると短編というより掌編、ショートショートという感
じだ。その短い時間の中で、起承転結、あっと驚く結末が付
けられれば最高だが。それはなかなか難しい。
毎年秋の終りごろに映画学校の生徒さんの作品を見せてもら
っている。それも大体10分前後の作品な訳で、それと比較し

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09月20日(水)
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