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On the Production
by 井口健二
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■第119回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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今回はこの話題から。
ブライアン・デ=パルマ監督によるジェームズ・エルロイ
原作“The Black Dahlia”の映画化は、ヴェニス映画祭の開
幕を飾るなど話題になっているが、迷宮入りとなっているそ
の元とされる事件も含めた1940年代のロサンゼルスで起きた
殺人事件を検証したドキュメント“Black Dahlia Avenger”
の映画化をニューラインで行うことが発表された。
エルロイが序文を寄せているこの原作は、元ロサンゼルス
市警・殺人課の刑事だったスティーヴ・オデルがまとめたも
のだが、実はこの本の中でオデルは、自らの実父を連続殺人
事件の犯人に名指ししているという強烈なものだ。
殺人課刑事として18年のキャリアを持つ原作者は、その間
に300件以上の殺人事件の捜査を行ったということだが、実
父のジョージ・オデル博士の死を機会に退職。ところが父親
の残した古い写真アルバムを見ているうちに2枚の写真に目
を留めることになる。そこには扇情的なポーズをとったエリ
ザベス・ショートが写っていたのだが…。その写真から父親
の真の姿を追い始めた息子は、やがて聡明で魅力的に見える
父親が、実はハンニバル・レクターのような殺人鬼で、12件
もの殺人事件に関ったと結論付けるに至る。
翻訳本は、文庫上下2冊というヴォリュームで綿密に書か
れていることが感じられるものだが、現実には、原作者が調
査に行っても警察の捜査資料などは散逸したり退色して目も
当てられない状態だったそうだ。しかしその中から、父親の
真の姿を探り当てたもので、その信憑性はともかく、熱意は
被害者の息子であるエルロイも認めるものだとされる。
なお原作は数年前に発表され、以来複数の監督から映画化
の申し入れがあったがオデルは許可していなかった。しかし
今回は、先にテレビで紹介されたオデルの物語に触発された
ニューライン社の重役ジェフ・カッツが非常な熱意を持って
オデルと交渉し、オデル自身が製作総指揮に加わる形で映画
化が実現することになった。
製作時期や監督などの陣容は未定だが、脚色にはラルフ・
ペズーロという脚本家が起用されているようだ。
* *
今やトップスターのジム・キャリーとキャメロン・ディア
スが、共に出世作と言われる1994年の『マスク』以来、13年
振りに共演する計画が、ユニヴァーサル傘下のフォーカスか
ら発表された。
作品は、“A Little Game”という題名のロマンティック
コメディで、2人が演じるのはマンハッタンに暮らす婚約中
のカップル。ところが2人は、つきあっている友人たちが、
2人の関係が長くは続かないと考えていることに気付いて…
というお話。そこからはいろいろな人間模様が描かれそうだ
が、オリジナルはフランスの舞台劇で、それをアラン・レー
ブが脚色、さらにリズ・タッシロがリライトしている。
監督はイタリア出身のガブリエル・マッシノ。マッシノ監
督は、年末公開予定のウィル・スミス主演“The Pursuit of
Happyness”に続くアメリカ進出第2作とするものだ。
因にキャリーは、フォックス製作の“Uesd Guys”と、パ
ラマウント製作の“Believe It or Not”の2本の大作が相
次いでキャンセルされたところだが、ティム・バートン監督
の“Believe…”は、6月15日付第113回で報告したように、
前回紹介した“Sweeney Todd”の完了後に再開の予定と言わ
れており、本作もその前に撮影することになるようだ。本作
の撮影は10月にニューヨークで開始と発表されている。
なお、キャリーの新作はジョエル・シュマッチャー監督に
よる殺人スリラー“The Number 23”が公開待機中。一方、
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09月15日(金)
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