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On the Production
by 井口健二
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■第116回
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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まずは、アジア発のこの話題から。
7月20日付で紹介した『グエムル−漢江の怪物−』が韓国
の封切りで新記録を樹立しているポン・ジュノ監督が、今後
の計画を発表。次回作は母親とその息子を描いた低予算作品
を年内に製作した後、来年にも再びビッグスケールのSF映
画に挑戦することを表明した。しかもその原作は、フランス
製のコミックスだということだ。
発表された原作の題名は“Le transperceneige”(「雪を
貫くもの」というような意味のようだ。因に、英題名はThe
Snowplow Trainとなっている)。この作品は、1980年代にジ
ャーク・ロブ文、ジャン=マルク・ローシェ画によって雑誌
A Suivreに連載されたもので、1984年に単行本として出版さ
れた。また同作は1999年にシリーズの第1巻“L'echappe”
(逃亡者)として再刊され、さらにベンジャミン・レグラー
ン文、ローシェ画によって第2巻“L'arpenteur”(測量士
:1999年)、第3巻“La Traversee”(横断:2000年)と、
書き継がれたそうだ。
物語は、地球が再び氷河期を迎えた未来を背景に、生き残
りの人々はなぜか運行を続けているtransperceneigeと名付
けられた列車の中で暮らしているというもの。その列車の中
では後部ほど階級の高い権力者が暮らしており、そんな階級
社会の中で、主人公は列車の運行の秘密を探るべく、先頭車
両を目指して進んで行く…というのが第1巻のお話。
また、第2巻では、同じレールの上を走る第2の列車が発
見されて衝突しそうになり、さらに第3巻では、大洋の反対
側からのメッセージが届き、列車はレールを離れ凍った海を
渡って行くことになるようだ(なお、この情報はSFファン
仲間でフランス通の林さんに調べていただきました)。
因に、“Le transperceneige”は3部作全体の題名のよう
だが、今回映画化の原作はジャーク・ロブ作となっているも
ので、これが第1巻だけを示すのか、シリーズ全体の映画化
なのかは不明。しかし、いずれにしてもかなり大規模な作品
になることは間違いなさそうだ。またスタッフでは、すでに
『グエムル』の怪物をデザインしたジャン・ヒチュルの参加
が発表されている。
雪と氷の原野を疾走する列車というのは、実写でも映像化
できないことはないと思うが、デザイナーが早々と参加して
いるということは、ここにも仕掛けが考えられる。その映像
化のために、『グエムル』に参加したオーファネイジ、ウェ
タなどのVFX工房が再結集することもありそうだ。その辺
にも期待したい。
なお、監督にはハリウッドからの誘いもあるようだが、監
督自身は、一応、今回発表された計画を変えることはないと
している。ということは、来年の撮影で再来年には公開が期
待できそうだ。ただし原作はフランス製、どうせなら一気に
世界を目指す作品にもして欲しいが、キャスティングと言語
はどうするのだろうか。
* *
以下はハリウッドの情報で、まずはワーナーからまたまた
DCコミックスの映画化の計画が発表された。
発表された作品の題名は“The Doom Patrol”。内容は、
超能力を持ってはいるが社会と相容れないグループが、車椅
子の指導者と共に戦う…というもの。どこかで聞いたような
お話だが、実はマーヴルの“X-Men”とは、同じ1963年6月
にオリジナルシリーズがスタートしているというものだ。た
だし、このオリジナルシリーズは一旦終了していたもので、
その後、1980年代の後半にスコットランド出身のストーリー
作家グラント・モリソンの参加によって、物語に子供の悪夢
のような超現実的な要素が取り入れられ、現在では、特にカ
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08月01日(火)
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