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On the Production
by 井口健二
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■クリムト、西瓜、ミラクルバナナ、愛と死の間で、サラバンド、夢遊ハワイ、マイアミ・バイス
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『クリムト』
“KLIMT
A Viennese Fantasy a la Maniere de Schnitzler”
1900年のウィーンとパリを舞台に、画家グスタフ・クリムト
の奔放な生き方をジョン・マルコヴィッチの主演で描いたド
ラマ。R−15指定映画。
19世紀末のこの年、パリでは万国博覧会が開かれ、そこでは
クリムトの出品した絵画が好評に迎えられている。一方、ウ
ィーンでは、クリムトは旧態依然としたアカデミーに反旗を
翻し、分離派を旗揚げしていた。
そんなクリムトの前に、フランスで映画興行を成功させたジ
ョルジュ・メリエスが現れ、クリムトの創作風景を写したと
称する映画を上映する。それはクリムトもモデルも俳優が演
じているものだったが、そのモデルの女性に魅せられたクリ
ムトは…
この謎の女性レア・デ・カストロとクリムト、それに彼の生
涯のパートナーだったエミーリエ・フレーゲ(ミディ)、ク
リムトの弟子で最後を看取ったエゴン・シーレら、虚実の人
物を縦横に配して、退廃的な世紀末の風景が描かれる。
マルコヴィッチは、数年前に「あなたはクリムトといろいろ
な面で似ている」と言われ、この映画の企画が始まったのだ
そうだ。しかし良い脚本がなかなか得られなかった。そこに
過去に2度マルコヴィッチと組んだことのあるチリ出身のラ
ウル・ルイス監督が参加、彼の脚本により映画は完成された
というものだ。
その脚本は、クリムトの作品や生き方に論評を加えることな
く、ありのままを描いたと言うことだが、そこに架空の女性
や、『ビューティフル・マインド』からヒントを得たのでは
ないかと思われる謎めいた人物を配することで、クリムトの
実像を見事にファンタスティックに描き出している。
特に、監督自身が『不思議の国のアリス』と称するこの作品
では、ウサギに相当する大使館の書記官と自称する謎の人物
に、クリムトの歴史的価値や心情なども語らせることで、美
術史を知らない観客にも判りやすく物語を描いている。
その一方で、映画は当時のパリ、ウィーンの室内装飾から衣
装までも細かく再現して行くが、それが必ずしも当時のその
ままではなく、特に衣装には、当時の思想を受け継ぐ現代の
デザイナーの作品も採用しているのだそうで、その辺が映画
に古臭さを感じさせない独自の雰囲気を出しているようだ。
その他、鏡やシルエットを使った映像演出にも、全体として
懐かしさや新しさが混在している感じで、R−15指定を受け
る様な作品でありながら、何か見ていて気持ちの安まる思い
のする作品だった。
『西瓜』“天邊一朶雲”
昨年の東京国際映画祭「アジアの風」部門では『浮気雲』の
題名で上映されたツァイ・ミンリャン監督による台湾映画。
なお、本作はベルリン国際映画祭で銀熊賞(芸術貢献賞)を
受賞している。
形式的には、同監督の2001年の作品『ふたつの時、ふたりの
時間』の続編ということで、前作に登場した2人のその後が
描かれているものだが、物語自体はほとんど関係はなく、僕
も前作は見ていなかったが、単独で鑑賞しても全く支障は感
じなかった。
そして物語は、主人公の女性が5年ぶりにパリから帰国する
ところから始まる。その時、台湾は猛烈な水飢饉に襲われて
おり、水道は断水、人々にはスイカで水分を取ることが奨励
されている。そんな中で彼女はトランクの鍵を無くし、途方
に暮れている。
一方、前作では路上の腕時計売りだったという男性の主人公
は、本作ではAV男優となって日々セックスシーンの撮影に
明け暮れている。因に、日本での上映指定がどうなっている
か知らないが、映画は巻頭からかなり強烈なシーンが登場す
るものだ。
そんな2人が再会し、彼女はトランクの鍵を開けてもらうた
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07月31日(月)
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